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社説
10月23日付  <2017衆院選>「自民1強」継続  謙虚な姿勢を忘れるな  
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 衆院選が投開票され、「自民1強」が今後も続くことになった。

 自民党は公示前の290議席を下回りそうなものの、公明党と合わせて、国会運営で与党が主導権を握れる絶対安定多数の261を超えた。

 徳島県の小選挙区でも自民前職の後藤田正純、山口俊一両氏が当選し、前回に続いて議席を独占した。

 選挙の準備ができていない野党の隙を突くという、安倍晋三首相の描いた戦略が功を奏したといえよう。

 ◆改憲勢力は伸びたが

 しかし、勝ったとはいえ、得票数は減っている。それでも与党で絶対安定多数を維持したのは、小選挙区で複数の野党候補が立ち、政権批判票が分散したのが大きい。

 得票の差よりも獲得議席数の差が極端に開く、小選挙区制度の特性に助けられた結果である。

 再び国民の信任を得た安倍首相だが、忘れてならないのは、選挙前に強調した謙虚な姿勢だ。

 先の通常国会では、「共謀罪」法案の委員会採決を省略して強行採決するなど、審議軽視の態度が際立った。

 野党が憲法に基づいて求めた臨時国会の召集も、引き延ばした揚げ句、所信表明演説や代表質問を行わずに開会冒頭で衆院解散に踏み切った。

 そうした強引な政権運営に国民が厳しい目を向けていることを、肝に銘じてもらいたい。

 「大義なき解散」といわれた今回の選挙は、民進党が公示直前に分裂し、戦いの構図が3極に変わるという異例の展開をたどった。

 大きな争点となったのが、憲法改正である。

 自民党は改憲を公約の重点項目に位置付け、戦争放棄を定めた9条への自衛隊明記や教育無償化、参院選の「合区」解消などを例示した。

 寛容な改革保守を名乗る希望の党は「9条を含め改憲論議を進める」とし、日本維新の会は9条改正を訴えた。

 与党と維新に希望の党が加わった結果、「改憲勢力」は国会発議に必要な3分の2(310議席)を大きく上回る見込みとなった。憲法改正が一段と現実味を帯びてきた形である。

 だが、改憲勢力の間にも開きはある。

 希望の党の小池百合子代表は自衛隊明記に疑問を呈し、公明党も慎重な考えを示している。

 安倍首相が本丸とする9条改正に関しては、自民党内でさえも、さまざまな意見がある。

 国民の知る権利や地方自治の充実、緊急事態条項といった項目も挙がっているが、それらの多くは憲法を変えなくても国会で対応できるものだ。

 9条を含め、改正の必要があるのかどうかをもっと掘り下げるべきである。

 ◆森友・加計の説明を

 希望の党への合流を拒んだリベラル系候補らでつくった立憲民主党が、大きく躍進したのも見逃せない。

 9条改正に異を唱え、安全保障関連法も違憲だと真正面から非難した姿勢が評価されたと言っていい。政権批判が根強いことの表れでもあろう。

 消費税増税やアベノミクスの是非、原発再稼働、地方の活性化など争点は多かったが、選挙戦で議論が深まったとは言い難い。

 とりわけ、教育無償化や子育て支援など社会保障政策では、実効性や財源の裏付けが乏しい主張が目立った。聞こえの良さを競い合う一方で、財政健全化への言及がほとんどなかったのは残念である。

 指摘しておかなければならないのは、学校法人・森友学園と加計(かけ)学園を巡る疑惑が晴れていないということだ。

 首相は丁寧に説明すると述べてきたが、街頭演説では積極的に取り上げなかった。衆院選の勝利でみそぎは終わったとして今後も避けるようなら、やはり「疑惑隠し」解散だったと見られても仕方あるまい。

 来年の自民党総裁選での3選と、2021年9月までの続投が視野に入った安倍首相である。「1強」が続くからこそ、おごりを厳しく戒め、数に物を言わせるような手法を改めることが求められる。

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