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社説
10月26日付  ISの「首都」制圧  市民保護に全力尽くせ  
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 多数の住民を虐殺し、世界各地にテロをまき散らしてきた過激派組織「イスラム国」(IS)の終えんが視野に入った。

 ISが「首都」と称しているシリア北部ラッカを、少数民族クルド人主体の民兵組織シリア民主軍(SDF)が奪還した。

 SDFは勝利宣言し、シリアでのISとの戦いは「最終章」に入ったと強調する。

 空爆や情報提供などでSDFを支援してきた米国は、大きな成果を挙げたといえる。

 ISによる処刑の恐怖からラッカ市民が解放されたことを喜びたい。

 イラクの最大拠点だった北部モスルに続いて、ラッカも失ったことで、ISの組織は壊滅状態に陥った。

 一方で、市民らが支払った代償も大きい。シリア人権監視団によると、ラッカ奪還作戦では市民1130人を含む計3250人が死亡した。

 ラッカが解放された後も、ISの残存勢力はシリア中部のホムス近郊で多数の市民を虐殺した。掃討作戦を行う米軍などは、市民の安全確保に全力を挙げてもらいたい。

 IS幹部らの逃走先とされる東部の油田地帯デリゾールも、ロシアの支援を受けるシリアのアサド政権軍が9割超を制圧した。

 問題は、指導者アブバクル・バグダディ容疑者らの所在が依然、分からないことだ。ラッカやデリゾールからISの幹部がトルコに逃れたという情報もある。

 彼らが各地でテロを起こさないか心配である。外国で戦闘員の勧誘を行う恐れも否定できない。

 国際社会が情報交換などで緊密に連携し、ISを封じ込めることが大事だ。

 幹部らの捜索と身柄の拘束を急ぎたいが、平和な暮らしを求める一般のイスラム教徒までが、色眼鏡で見られることがあってはならない。

 ISは2014年6月、イラクとシリアにまたがる「国家」の樹立を一方的に宣言し支配地域を広げていった。

 外国からの戦闘員も受け入れて勢力を急速に拡大。巻き込んだ市民社会を恐怖のどん底に陥れた。子どもたちが負った心的外傷(トラウマ)のケアも大切である。

 今後は、戦闘で破壊された都市と住民の生活の再建が課題になる。水道や電気などインフラの復旧も急務だ。

 欧州に流入した大量のシリア難民の帰還も焦点となろう。国際社会の生活支援などが欠かせない。

 シリアでは今も内戦が続いており、イラクでも爆弾テロが相次ぎ、女性や子どもの命も危険にさらされている。

 ISは両国の混乱に乗じて台頭した。政情が安定しない限り、過激派組織が頭をもたげる恐れは消えない。

 米国はラッカ解放を機に、アサド政権側と反体制派の和平協議を推進する構えだ。

 米国とロシアは利害を乗り越えて、内戦の終結に力を注がなければならない。

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