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社説
10月28日付  2期目の習指導部  危惧される権力の集中  
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 あまりの権力の集中に危惧を抱かざるを得ない。

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、2期目の指導部をスタートさせた。

 先日の党大会では、自身の名前を冠した指導思想を盛り込んだ党規約改正案が承認され、毛沢東、故鄧小平氏と肩を並べる権威を手に入れた。

 さらに新たな最高指導部人事では、後継候補と目された腹心らの昇格を見送った。「1強体制」を盤石にし、2期目が終わる5年後以降も権力を維持する狙いだろう。

 目指すのは、軍事を含む全方位での「強国」建設だという。国際秩序を無視するような従来の路線を一層強めるのなら、看過できない。

 中国は東アジアの平和と安定に重要な役割を担っている。その責任を十分に自覚し、大国にふさわしい振る舞いをするよう求めたい。

 党規約に明記された指導思想は、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」である。今世紀半ばまでに、圧倒的な軍事力も備えた「社会主義の現代化強国」を建設するというものだ。
 
 習氏は党大会で行った活動報告で、今後30年で「中華民族の復興」を成し遂げると表明し、「海洋強国」の建設を誓った。軍拡路線を鮮明にし、覇権への野望をむき出しにした形である。

 中国は、沖縄県の尖閣諸島周辺で公船による領海侵入を常態化させ、南シナ海では軍事拠点化を進めている。

 南シナ海での行動は、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判所が昨年7月、中国の主権主張を否定する初判断を下した。だが、習指導部はこれを拒否している。

 自国の利益や政策にそぐわなければ、国際ルールにも背を向ける。そんな態度を今後も続けるというのか。

 習氏は、自らが提唱した現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」によって、経済グローバル化で世界の先頭に立つ決意も示したが、周辺諸国の不安を招くようでは、成功はおぼつくまい。

 国内では、民主活動家や少数民族に対する抑圧政策を強めている。今年7月、ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が”獄中死“し、その過酷さを改めて世界に見せつけた。

 習氏は共産党政権を樹立した毛沢東に自身を重ね、「個人崇拝」も進める構えだ。

 しかし、経済発展に伴って国民の価値観は多様化している。厳しい言論弾圧により表面化していないものの、国民の不満はたまっていよう。

 民主化プロセスを排除し、一党独裁を強化する路線でいつまで抑えることができるのか、甚だ疑問だ。

 経済、文化面での関係はもちろん、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応でも、中国は日本にとって大事な隣国である。

 米韓両国など国際社会と連携し、中国が基本的人権や法の支配といった「普遍的な価値」を尊重するよう、働き掛ける必要がある。

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