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社説
11月11日付  パラダイス文書  課税逃れ対策を強めよ  
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 世界的な巨大企業や資産家が、タックスヘイブン(租税回避地)を利用した課税逃れなどによって、巨万の富を築いている-。

 そんな実態が、また明らかになった。税の公平性を確保する観点からも到底、看過できない。

 南ドイツ新聞が入手した租税回避地の新資料「パラダイス文書」から、各国の新旧首脳、政治家や企業関係者の名前が見つかった。

 この新資料に基づいて国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が取材した結果、水面下に隠れていた事実が判明した。

 中でも、目を引いたのは、米国のロス商務長官と関係の深い海運会社と、ロシアのプーチン大統領の娘婿や側近2人が実質オーナーの企業が巨額の取引をしていたことだ。

 側近の1人は米政府の経済制裁の対象になっており、米政府倫理局が「利益相反」と認定する可能性もある。

 米国では、米大統領選にロシアが干渉した疑惑(ロシアゲート)の捜査が進みつつある。ロス氏の問題はトランプ政権への打撃になりそうだ。

 米会員制交流サイト(SNS)大手フェイスブック(FB)とツイッターの両社に、ロシアのプーチン政権から租税回避地のファンド経由で、多額の資金が流入していた疑いも浮上した。

 日本関係の個人・企業は計1056件に上る。政治家と確認されたのは、鳩山由紀夫元首相ら3人の元国会議員だけだった。バミューダにある香港系企業の名誉会長に就任していた鳩山氏は、報酬は顧問料として受け取り、適正に税務申告していると答えた。

 昨年、パナマ文書で課税逃れの手口が暴かれて以降、国際的な対策が進み始めたのは、歓迎すべきことだ。

 今年6月には、76カ国・地域が、外国子会社に利益を移す課税免れを防止する条約に署名した。日本は、年間1千億円以上の売り上げがある企業グループには、子会社のある国別の事業内容、納税額を報告させる制度を導入した。

 それでも、まだ不十分である。租税回避地を利用しようとする企業や資産家は後を絶たない。企業活動の機密性が高く、条約や法の抜け道になりやすいからだ。

 パラダイス文書やパナマ文書で判明したのは氷山の一角で、ほかにも租税回避地を温床にした課税逃れがあるとみるべきだろう。

 経済協力開発機構(OECD)の推計によると、企業が税率の低い地域へ利益を移すことで、世界の法人税収が年間4~10%(11兆~27兆円)も失われている。

 営利を追求する民間企業にも、納税を通じて社会にしっかりと貢献する倫理規範が求められる。

 国境を越えた課税逃れの防止策を推進してきたOECDや、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、取り組みを一層強化してもらいたい。

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