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社説
11月12日付  加計獣医学部答申  これで認可できるのか  
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 やはり、加計(かけ)学園ありきだったのではないか。そんな疑念がさらに深まった。
 
 学校法人「加計学園」が政府の国家戦略特区制度を使って愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画に関し、文部科学省の大学設置・学校法人審議会が認める答申を出した。
 
 林芳正文科相が認可を最終決定すれば、来年4月の開学が決まる。しかし、多くの問題を残したままでは、国民の理解は得られまい。拙速な認可は避けるべきだ。
 
 疑問の一つは、政府が閣議決定した獣医学部新設の4条件を、計画が満たしているかどうかだった。「近年の獣医師の需要動向を考慮する」などである。
 
 これに対して、今年1月に特区認定した当時の担当大臣は「最終的に私が確認した」と国会で答弁した。
 
 ところが今回、設置審が公表した5月以降の審査段階の意見内容では、需要に関する学園の説明が不十分だと指摘していた。政府や特区諮問会議は、4条件について一体どんな検討をしたのか。
 
 そもそも農林水産省は「現状で対応できている」とし、獣医師を増やす環境にないとしていた。生産者の高齢化や国内市場の縮小で家畜の飼養数が減り、ペットも横ばいか減少傾向のためである。
 
 家畜を診察する獣医師が、四国など一部地域で不足しているのは事実だ。だが、それは給与など待遇面の問題が大きいとされる。
 
 そうした中で、新学部が必要とはとても思えない。しかも定員140人は全国最多で、既存学部の総定員930人の15%に当たる規模だ。
 
 設置審は実習計画の不備も指摘した。学園は公務員獣医師の不足解消を目指すとしていたにもかかわらず、当初の計画には牛の解剖など必要な実習がなかった。あまりにずさんと言わざるを得ない。
 
 特区に認定された経緯にも不審な点が多い。
 
 学園の理事長は安倍晋三首相の友人である。特区担当の内閣府が文科省に、「総理の意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えたとする記録文書が見つかったが、真偽は今も不明だ。
 
 今治市が特区に申請する前に市職員が首相官邸を訪れ、当時の首相秘書官と面会したともされる。
 
 首相が、新設計画を知った日を「申請が認められた1月20日」と述べたのも信じ難い。理事長は10年前から新設を目指しており、友人の首相がそれまで知らなかったというのは不自然である。
 
 問われているのは、公正であるべき行政がゆがめられたのではないかということだ。
 
 首相は丁寧に説明すると繰り返してきたが、納得できる対応はいまだにないままだ。開会中の特別国会でしっかりと説明してもらいたい。
 
 そのためには、厳しい追及を受けて立つことである。与野党の質問時間の割合を見直そうなどとすれば、「加計隠し」の批判は免れまい。

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