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社説
11月22日付  「北」テロ国家指定  対話と交渉の道閉ざすな  
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 トランプ米政権が北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定した。米朝間の緊張をさらに高めるだけでなく、不測の事態を招く恐れもある。

 米政府は、1988年に北朝鮮をテロ支援国家に指定したが、2008年に解除した。9年ぶりとなる今回の決定により、金正恩(キムジョンウン)政権が反発するのは必至であり、先行きは予断を許さない。

 トランプ政権は、核放棄に応じるまで圧力をかけ続ける姿勢を鮮明にした形だ。だが、引き続き対話と交渉の道を探り、平和的な解決に導くことが大切だ。

 再指定を巡って、トランプ氏は今月上旬の日本、中国、韓国などアジア歴訪の最後に判断を示すとみられていた。

 見送ったのは、中国の習近平国家主席が特使として高官を北朝鮮に派遣したのを受け、緊張緩和につながるかどうかを、見極めようとしていたからではないか。

 その高官訪朝の成果を示すものは、発表されていない。核・ミサイル開発と米韓軍事演習の同時停止を提案する中国と、米国が先に敵視政策を撤回すべきだと主張する北朝鮮の隔たりは大きかったのだろう。

 これがトランプ氏の判断を促す結果になったともいえる。悪化していた中朝関係の改善も、一層遠のきそうな気配だ。

 中国は核問題の主要な当事国ではないとしているが、仲介役としての役割が大きいのを忘れてはならない。

 米国内では、本土を狙う核搭載大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発が飛躍的に進む北朝鮮の脅威が深刻化するのに対し、議会を中心に再指定を求める声が強まっていた。

 北朝鮮に拘束されていた米国人大学生が6月の解放後、死亡した事件も起きた。トランプ氏が「彼は虐待された」と訴え、北朝鮮に敵意を示していた経緯もある。

 ただ、今回の再指定は象徴的な意味合いが強く、実質的な効果は限定的とみられている。北朝鮮が圧力をどれほど感じるかは不透明で、譲歩を引き出せるのかどうかも見通せない。

 北朝鮮が譲歩どころか、新たな挑発行動に出る恐れは十分にある。08年に指定が解除された後、5度にわたって核実験を実施し、今年7月にはICBMの発射実験を2度行った。

 再指定を受け、安倍晋三首相は「北朝鮮に対する圧力を強化するものとして歓迎し、支持する」と述べた。北朝鮮の動向を注視したい。

 来年2月に平昌(ピョンチャン)冬季五輪を控える韓国にとっても正念場だ。核・ミサイル技術の高度化阻止に向け、最大限の圧力が必要だという考えで米国と一致しているが、米朝の緊張緩和は優先課題である。

 東アジアの平和と安定を守っていくためには、日米韓に中国やロシアを加えて、北朝鮮に自制を促すことが大事だ。対話の席に着かせる努力を続けなければならない。

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