徳島新聞Web

1月22日(月曜日)
2 2
22日(月)
23日(火)
社説
11月24日付  自民の合区解消案  改憲だけが方策ではない  
このエントリーをはてなブックマークに追加

 自民党の憲法改正推進本部が、「1票の格差」是正に向けて導入された参院選挙区の「合区」を解消するため、衆参両院議員の選挙に関する事項を「法律で定める」とした憲法47条の改正を柱とするたたき台を了承した。

 たたき台は、2012年の党改憲草案やその後の検討を踏まえた。47条について「各選挙区は人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」の一文を挿入する。

 参院選に関しては「改選ごとに各広域的な地方公共団体の区域から少なくとも1人が選出されるよう定めなければならない」という趣旨のただし書きを追加した。

 昨年の参院選で「徳島・高知」「鳥取・島根」で実施された合区は、候補者と有権者の距離を広げ、投票率低下などの大きな弊害を生んだ。

 私たちは、地方の切り捨てにつながる合区は廃止すべきだと主張してきた。人口の少ない県も、改選ごとに1人の参院議員を選出できる仕組みが必要である。

 合区解消は自民党の衆院選の公約の一つであり、取り組みを進めていくのは当然だ。9条への自衛隊明記、緊急事態条項の創設、教育無償化とともに改憲4項目の一つでもある。

 推進本部は、条文化作業を本格化させ、来年の通常国会で党改憲案の提示を目指す。

 しかし、19年夏の次期参院選までに憲法を改正し、国民に周知するのは至難の業ではないか。
 
 たたき台には、改憲による合区解消を呼び水にして、憲法改正論議に弾みをつける狙いもうかがえる。安倍晋三首相が意欲を見せる9条改正に比べ、国民の抵抗が小さいとみているのだろう。

 だが、ハードルが高い改憲という手段によらなくても、参院定数増を含めた法律の改正で合区を解消するのが現実的である。

 参院各会派が選挙制度を議論する専門委員会会合では、与党からも異論が出た。

 公明党は従来、都道府県単位の選挙区から大選挙区制への変更を求めており、47条の改正には否定的だ。同党の西田実仁参院幹事長は43条の「両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」との規定と矛盾するとして、疑問を呈した。

 野党の主張もさまざまだ。民進党からは「参院の在り方を考える根本の議論が必要だ」という意見が出た。希望の党は「選挙制度改革の前に統治機構改革を考える必要がある」との立場を示した。共産党は全国9ブロックでの比例代表制を提案する。

 地方を中心に人口減が深刻化する状況で、選挙制度の抜本改革が欠かせないことは言うまでもない。

 とはいえ、合区を解消するためには、憲法改正だけが優れた方策とは言えまい。党利党略や拙速は慎まなければならない。与野党を交えた議論の成熟を待つべきだろう。

メニュー
 徳島ヴォルティス        高校野球
 社説        鳴潮           号外       地震
 ニュースリリース           不審者
 人事       訃報