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社説
1月15日付  天皇陛下沖縄訪問  平和への祈りを次代へ  
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 天皇、皇后両陛下が3月後半に沖縄を訪問されることが決まった。2019年4月30日の退位まであと1年余。残された日々の中で、沖縄県民との交流を希望された。

 平和への祈りを平成から次代へ引き継ぎたい、という天皇陛下の思いだろう。戦争の悲惨さと平和の尊さを顧みる機会としたい。

 現在の皇室と沖縄県民との関係は、陛下自らが築かれたものだ。平成皇室30年の軌跡と特徴を最も映し出すのは、沖縄問題であろう。

 県民の4人に1人が亡くなったとされる地上戦、1972年まで及んだ米軍統治。長く続く苦難の歴史は、天皇の名によって始まった戦争と切り離せない。昭和から平成に変わっても、天皇への拒絶感情は根強かった。

 天皇としての初訪問が実現したのは、即位から4年を経た93年4月の植樹祭だった。

 即位直後から本土復帰(5月15日)や地上戦終結(6月23日)の式典に合わせた「できる限り早い訪問」を望んだが、当時の沖縄県政に拒まれていた。

 背景には、政府が天皇を政治利用し、歴史の清算を図ろうとしているのではないかという疑念があった。

 沿道に歓迎の人波はなかった。陛下は戦没者遺族の代表に「人々の死を無にすることなく、平和を念願し続けたい」と表明。だが、県は正式なお言葉ではなく「私的な声掛け」と位置づけた。

 それから25年。沖縄への訪問は度重なり、県民の皇室を見る目も変わった。両陛下が続ける鎮魂と祈りの旅は、沖縄の心と共鳴するものがあったと言えよう。

 今回の訪問では、与那国島へも行かれるという。首都東京から最も遠い最西端の島。台湾や尖閣諸島に近く、安全保障上の重要さが増す国境の島である。人口1706人。両陛下の来訪によって励まされるはずだ。

 こうした各地への訪問は退位後も続くのではないかと期待する向きもある。しかし、陛下は退位を境に活動を極力控え、そっと新皇室を見守る立場に徹するだろう。

 退位で最も懸念されているのは、新天皇と前天皇が同時に存在する「二重権威」の問題だからだ。

 憲政史上初めてと注目される「退位式」についても、陛下はパレードや一般参賀など華やいだ行事は行ってほしくない、できるだけ簡素に執り行ってほしい、との考えだ。

 新天皇即位の式典が始まる前段で、国民を巻き込んだ大掛かりな行事を行うのは、いくら政府の決めることであっても承服しがたいのではないか。粛々と簡素に、が陛下の考えであり、それに沿って計らうべきだ。

 残された日々はまだある。昨年12月の誕生日会見で、その日まで「象徴として務めを果たす」と宣言した。陛下がこれからどんな思いをわれわれに示そうとされるのか、注目していきたい。

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