漫画に書の技法 米出身の四国大留学生、余白や線の美学ぶ 2008/11/26 10:34
筆遣い、運筆、墨の濃淡などで美を表現する書や水墨画を作品に生かしたいと、米ミネソタ州出身の漫画家ラース・マーティンソンさん(31)=北島町鯛浜=が、四国大学(徳島市応神町)大学院で書道を学んでいる。「伝統的な書の技法を取り入れることで、より奥の深い漫画表現を探求したい」と懸命だ。
マーティンソンさんは、米国で漫画を描く傍ら、二〇〇三年から〇六年にかけて英語指導助手(ALT)として来日、福岡県で教壇に立った。当時、暮らしていた町の書店で葛飾北斎の水墨画に出合い、素朴で味わい深い表現に魅了されたことが、書道に興味を持つきっかけになった。
「漫画でもこんな表現ができれば」と、帰国後に再来日を決意。文部科学省の奨学金を受け、今年四月、全国的にも数少ない書道学科のある四国大の門をたたいた。
日本文化・書道文化専攻課程の研究生として、授業だけでなく書道部にも在籍し、基礎から勉強しているマーティンソンさん。「余白で美しさを表現したり、シンプルな線で立体感を生み出したり。書道と漫画には共通点があり、学ぶところは多い」と話す。
指導する森上洋光教授も「筆の多面性を探求し、背景や絵に物悲しさ、おかしさを描き出してほしい」と期待を寄せる。
再来日する直前に出版したALT時代の日常を描いた自伝的漫画「TONOHARU(唐の原)」は、米紙「ウォールストリートジャーナル」などで紹介され、インターネットのサイトを通じて初版の二千五百部を完売した。次の作品には習った書道の技法を盛り込むという。
目標は「漫画は子ども向けのもの」というイメージの強い母国で、大人も楽しめる味わいのある作品を創作すること。マーティンソンさんは「授業で新しいことを学ぶたびに、書道の奥深さに驚く。漫画もそんな味わい深いものにしたい」と話している。【写真説明】絵について森上教授(左)に意見を求めるマーティンソンさん=四国大学