阿波市市場町の宮田育典さん(33)ら県内の建築関係者3人が、日本の古民家を台湾に移築する交流事業に参加し、現地住民との共同作業に汗を流した。3人はくぎを使わずに木を組み合わせる伝統工法を駆使した骨格造りを担当。民家は近く完成予定で、宮田さんは「日台友好のシンボルとして利用してほしい」と話している。
参加したのは宮田設計工房代表の宮田育典さん(33)と、従業員の森田義(ただし)さん(58)=美馬市脇町=、曽江琢己さん(24)=吉野川市山川町。3人は、現地で棟梁(とうりょう)として陣頭指揮する宮田さんの親類の大工(兵庫県在住)に誘われて参加した。
古民家は1915(大正4)年に作家の水上勉氏の父親が福井県おおい町に建てた約50坪の住宅。2004年に解体され、その後、台北県淡水鎮に来春開園する平和記念公園内で復元作業が進められている。
3人は今年7月5日に台湾入りし、現地の職人や学生ボランティアらとともに作業を開始。複雑な木の組み合わせ方が分からず手探りの作業が続いたことに加え、解体したことで生じた木のゆがみを直したり腐った木を交換したりと苦労したものの、当初予定の1週間で上棟式にこぎつけた。
「試行錯誤の連続だったが、昔の職人が生み出した木造建築の技術が理解できて、いい経験になった」と宮田さん。滞在中は現地の人に木の削り方などを指導しながら、寝食も共にして交流を深めたという。
古民家の移築は、神戸市長田区で活動する市民団体「まち・コミュニケーション」が、10年前の台湾中部大震災の被災者と交流する中で企画された。移築費用は、日本で募った寄付金と台湾の地元行政の負担金を充てた。
古民家は上棟式の後、屋根や土壁、床の取り付け工事を経て完成し、資料館として利用される。宮田さんら3人は年内にも現地を訪問し完成の喜びを分かち合う予定だ。【写真説明】台湾に移築が進められている古民家=福井県大飯町(まち・コミュニケーション提供)