鳴門殺人・遺棄、懲役12年 裁判員裁判、検察側求刑に近く 2009/11/21 10:34
徳島地裁で17日に始まった県内2例目の裁判員裁判で、畑山靖裁判長は20日、裁判員との評議を経て、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた大阪府八尾市山本町北1、元トラック運転手藤見秀喜被告(62)に懲役12年を言い渡した。弁護側は懲役5年が相当と主張していたが、裁判員らは検察側が求刑した懲役15年に近い刑を選択した。判決後、裁判員4人と補充裁判員1人が記者会見に応じ、感想を語った。
判決公判には、裁判官3人と裁判員6人、補充裁判員3人が臨んだ。
判決では、統合失調症だった長男一(はじめ)さん=当時(33)=の暴力に悩み、精神的に追い詰められて犯行に及んだ経緯に「同情すべき点はある」としながらも、「いかに苦しい状況に置かれていたにせよ、人の生命を奪うことは許されない」と非難した。
弁護側が主張していた精神障害者の家族への支援制度の不備については「同じように苦しみながら、現実に向き合っている人が少なくないことは忘れてはならない」とした。
自首を考えず、犯行後も平静を装って生活しており、「後悔の念がうかがえない」と指摘。藤見被告の次男が供述調書の中で、遺体の切断と遺棄に憤りを感じていたことに触れたほか、「被害者への言葉は少なく、社会や制度のためにやむを得なかったような供述もしている」とも指弾した。
量刑については、殺害から遺体の切断、遺棄までを「全体として重く処罰すべき犯罪類型」ととらえ、死体損壊・遺棄罪は重視すべきではないとした弁護側の主張を否定。殺人罪の法定刑の下限である懲役5年では「被告の犯罪行為に見合っていない」と退け、「当初から死体遺棄を考えたことなどは、厳しい非難を免れない」として懲役12年を導き出したことを説明した。
判決言い渡し後、畑山裁判長は藤見被告に対して、最終陳述で一さんに向けた言葉がなかったことを「残念に思う」と述べ、「人の命の大切さを知っておいてもらいたかった」と語り掛けた。
判決について、豊永寛二弁護人は「被告は刑に服す趣旨の発言をしていた」と控訴しない方針を示した。一方、徳島地検の織田武士次席検事は「適正な範囲内の結果であり、控訴は考えていない」とした。