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フランス文学者の故・多田道太郎さんは、日本の季節の分け方についてこう言っていたそうだ。<春夏秋冬の四季のほかに梅雨と野分(のわき)を加え、一年を六季に分けたほうが実感にかなう>
坪内稔典著「季語集」(岩波新書)に、そうあった。「野分」とは台風の古語である。秋といえば晴天のイメージだが、「男心と秋の空」(女心ともいう)といわれるように、天気も変わりやすい。抜けるような晴天もあれば秋雨前線による長雨もある。台風シーズンでもある
確かに、六季に分けた方が現実感がありそうだ。坪内さんも、こう書いている。<秋の一時期を野分と呼ぶようにすると、私たちの風に対する感覚が鋭く繊細になり、風という自然と共生する思想が生まれるのではないか>
とはいえ深刻な被害をもたらす台風とは、いくらなんでも「共生」しかねる。台風18号もしかり。この朝刊が配達されるころには、本県に接近して猛威を振るっているのではなかろうか
この影響で、きょう予定されていた県内初の裁判員裁判の判決が延期された。海の便、空の便も欠航が相次いだ。大きな被害が出ないことを祈るばかりだ
<猪もともに吹るゝ野分かな>芭蕉。この句には自然との「共生」が感じられる。台風も今ほど強大ではなかったのだろう。地球温暖化の影響など、なかった時代の台風である。
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