徳島新聞Web

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鳴潮
10月16日付
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 世間的には無名でも、いぶし銀のような光を放つ。そんな逸材が、どの世界にもいるものだ

 ロックバンドのドラマーとして東京で活躍する徳島市出身の竹内正和さん(33)もその一人だろう。先日、徳島中央公園の小屋掛け公演で三好市出身の文楽人形遣い・吉田勘緑(かんろく)さん率いる木偶舎と共演。人形浄瑠璃とロックを融合した見事な舞台を披露した

 演目は近松門左衛門の「女殺油地獄」。油屋の河内屋与兵衛が放蕩(ほうとう)の果てに金を無心して断られ、同業の若いおかみ・お吉を切り殺してしまう話である。竹内さんらウィウィマーフィー&AWAの重厚なロックに乗せて、鬼気迫る殺害の場面などが上演された

 小中学生時代、文楽人形遣いで人間国宝の吉田蓑助(みのすけ)さんに弟子入りしていた竹内さん。その縁で勘緑さんから「面白いことをやろう」と声をかけられ、今回の舞台を企画・構成した

 殺されたお吉の人形が舞台上にだらりと放置され、ロックバンドの演奏が延々と続く。青白いスポットライトを浴びて浮かび上がるお吉の亡きがら。切々と胸に響くロック。それはやがて、9・11米同時多発テロやイラク戦争で理不尽な死を遂げた無数の市民への追悼の音楽のようにも聞こえてきた

 そう思わせる普遍性が舞台にあったのだろう。徳島発の果敢な挑戦が、人形浄瑠璃の可能性を力強く切り開いていく。

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