郵便局の窓口へはがきを出しに行くと、あて先の住所を見ながら「これ、何て書いてあるんですか」と尋ねられた。相手は30代半ばくらいの男性。流暢(りゅうちょう)な草書体ではなく、平凡な行書体で書いてあっただけに愕然(がくぜん)とした
書家の石川九(きゅう)楊(よう)さんが中公新書「書く-言葉・文字・書」の中で、そんな話を紹介している。これは「書く」ことを軽視して、パソコンを神格化したところから必然的にもたらされたものだと批判する
「現在必要なことは、英語や理数以上に、書字教育であり、それが人間としての生き方や情操にまで深く関係している」と石川さんは言う。その通り、と思わずひざを打った人も多いだろう
書道作品を展示する県展の第2期展が、あわぎんホールで始まった(28日まで)。ここには「書く」ことをひたすら追求する世界が広がっている。墨色や余白の美しい作品に出合い、気持ちが安らぐのも書ならではだ
こども県展も同所で開かれ、絵画とともに書写の力作が並んでいる(25日まで)。小さな手で筆を握り、半紙と格闘する姿が見えるようだ。そうして、知らず知らずのうちに集中力や言葉に対する感性を身に付けているのだろう
墨の香りをかぐと気持ちが落ち着く。そんな理由で書道を始める若い女性もいるようだ。ストレスの多い時代でもある。書道をもっと見直したい。
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