「お金や地位や名誉を得ても幸せになれないのは、上には上があるからだ」「見えを張る人は行き詰まる。確かな幸せは、コツコツと謙虚に生きることの中にあるのです」
言葉に説得力が感じられるのは、長年の経験に裏打ちされているからだろう。「徳島いのちの電話」の活動が発足30周年を迎えた県自殺予防協会・近藤治郎理事長(70)の記念講演を、徳島市内のあわぎんホールで聴いた
電話相談を始めたのは近藤さんが40歳のとき。自殺未遂をした女性と知り合ったのがきっかけだった。だが、奥さんと二人で始めた活動はすぐ行き詰まる。心身ともに疲れ果て、「社会活動として取り組まなければ」と相談員の養成を始めた
その相談員はいま110人。徳島市のほか美馬、阿南、三好の各市に相談センターも作った。だが、24時間態勢で電話を受け付けるには合計300人が必要で、今後はその養成に取り組む
それでも活動のかいあって、発足2年目の1980年に全国6位だった本県の自殺率が、2000年には低い方から3番目に。少しは悩みを抱える人の役に立っているかもしれない。そんな思いが苦労の多い活動を支える
全国の自殺者は11年連続で3万人を超す。「誰かがやらなければならない仕事と考えてやってきた」と近藤さん。人の幸福を願う活動が、その人生を輝かせている。
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