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10月20日(金曜日)
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鳴潮
9月14日付
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 ひどい話だ。沖縄県読谷村にある自然壕(ごう)「チビチリガマ」が荒らされた。太平洋戦争末期、住民80人以上が「集団自決」に追い込まれた場所である

 30年前にも被害に遭っている。様相を異にするのは、犯人がガマの内部に入り込んで、瓶やつぼといった住民の遺品まで壊していたことだ。中高生がささげた千羽鶴は引きちぎられ、平和を願う歌を書いた看板も引き抜かれていたという

 現場を確認した地元「沖縄タイムス」の記者によると、命日の4月2日には毎年、慰霊祭が行われる「聖地」。ガマには遺骨も残っており、墓でもある。それだけに遺族らの怒りは大きい。近年、こうした形で沖縄戦の戦跡が踏みにじられたことはなかった…、そんな話を聞いて受話器を置いた

 刷り上がったばかりの本紙夕刊を見る。1面に故大島渚監督が40年以上前、息子のために作った詩の記事があった。「パパの戦争」と題した詩は、命の尊厳と対極のところにある戦争を憎む

 <戦争が終った日、/パパ、十三才、中学の二年>で始まって、こう結ばれていた。<君よ、/君に戦争はあるか。/君よ、/今を大切にせよ。>

 遺品は、亡くなった人の命の一部である。その尊厳を平気で傷つける行為も、今という時代の断片なのだろう。先には何が待つか。大島監督のメッセージが、じわりと染みる。

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