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12月15日(金曜日)
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15日(金)
16日(土)
鳴潮
9月15日付
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 民家の間の細い道を、港で借りた電動自転車で行く。上り詰めると、今度は青い海へ向かって急降下。頬をなでる風が爽快だ
 
 「事故が増えているので気をつけて」。受け付けの女性の注意を思い出し、慌ててブレーキをかけた。ここは福岡県宗像市、玄界灘に浮かぶ大島。世界文化遺産に登録された沖ノ島が遠くかすんで見えた
 
 交通安全の神様として有名な宗像大社は、それぞれ違う女神を祭る三宮からなる。九州本土に総社・辺津宮(へつぐう)、大島には中津宮(なかつぐう)。沖津宮(おきつぐう)のある沖ノ島は、そのものが神とみなされ、一般の立ち入りは許されていない。大島の遥拝所から望む
 
 沖ノ島は大陸との船の要路にあり、4~9世紀、交流の成功を祈る国家的祭祀(さいし)が行われた。一木一草一石たりとも持ち出しは禁じられ、祭礼に使った鏡や剣が大量に残った。「海の正倉院」と呼ばれる
 
 遺物は一括して国宝になっている。その数8万点。辺津宮のうっそうとした森の中、神宝館に並ぶ宝物は、三角縁神獣鏡に始まって、これも国宝、あれも国宝。国宝なき徳島の住人には、うらやましい限り
 
 田心姫神(たごりひめのかみ)、湍津姫神(たぎつひめのかみ)、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)の宗像三女神は、いいときも悪いときも東アジアの国際情勢を見続けてきたのだろう。今、道を示してもらえないか。解きほぐすのは複雑にした人間の責任だとしても、取りあえず祈る。

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