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12月19日(火曜日)
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19日(火)
鳴潮
9月28日付
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 大阪市の国立国際美術館で「バベルの塔」を見た。オランダのボイマンス美術館が所蔵する16世紀ネーデルランドの画家ブリューゲルの傑作である
 
 意外に小さい。塔にまぶされた無数の点は、よく見ると石工にレンガ職人、建設作業員と、各自の持ち場で忙しそうに働く人々だった。建材のしっくいをかぶって、真っ白になった人たちもいる。描写は細かく、労働現場の息遣いが聞こえてきそうだ
 
 天まで届く塔を建てようする人間の傲慢(ごうまん)さに怒った神は、一つだった言葉を乱して互いに通じないようにし、工事を中止させた。人々も各地へ散っていった。作品は、やがて罰せられる傲慢の象徴とも、分裂が生じる以前の調和を描いたともいわれる、と図録にある
 
 違う言葉が生まれれば、違う考え方も生まれる。バベルはヘブライ語で「混乱」を意味するが、多様性の出現ととらえると、別の見方もできる。多様な考えを集約する知恵さえあれば、より高い塔が築けたのかもしれない
 
 一つの言葉しか知らなければ、傲慢にもなろう。さりとて共存の思想もいまだに根付かない。もっと壁を、の声が大きくなるばかりの現代である。旧約聖書の時代から、どれほど進歩したといえるだろう
 
 「バベルの塔」展は来月15日まで。奇想の画家ボスの作品も面白く、興味のある方は急いだ方がいい。

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