WEB版「山を歩いて健康づくり~高城山」

紅葉に彩られた尾根道 高城山(徳島県美馬市、那賀町境)

徳島新聞生活文化部 尾野益大
 紅葉に彩られた秋山を満喫しようと美馬市、那賀町境にある高城山(1628㍍)を目指した。車で神山町を経て那賀町の剣山スーパー林道に入ったころ、期待通り、赤や黄に色づいた山肌が眼前に広がった。
 登山口は同町沢谷にある宿泊休憩施設「ファガスの森」。案内してくれたのは、毎秋、訪れるという徳島市住吉2の仁田祐二さん(68)。高校、大学で山岳部に所属し現在、日本山岳会で活動しているベテランだ。
「どこも紅葉が昨年より1週間早いようだ」と仁田さんが見渡した。仁田さんは17日に石鎚山の北壁に登り、錦織り成す岩壁を見てきたばかり。
歩き始めから、幹周りが一抱え以上あるブナやヒメシャラ、カエデなどが林立した尾根道を進む。落ち葉を踏む音が林に響く。
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「葉が残っていてもさえない色の葉もある。それでも、まとまった自然林が残るこの山の存在はありがたい」と仁田さんが立ち止まって仰ぐ。枯れて焦げ茶色になった葉も。「少し暖かいせいだろうか」と続けた。
肌寒いと思っていたが、強い風は吹かず、気温も低いとは思えない。いつしか汗ばんできた。仁田さんが笑って「Tシャツ、短パンでもいいぐらい」。
1387㍍のピークを越えると剣山スーパー林道に下りた。すぐに登り返すが、相変わらず紅葉の森のトンネルが続く。進行方向の上方に山頂が見えた。地図を見ると200㍍以上の標高差がある。「まだ、しばらくかかる。ゆっくりゆっくり」と言う仁田さんのペースに合わせると疲れない。
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やがて、美馬市側の川原谷上部に来た。尾根道の少し下部から崩壊が始まり、大規模な森が根こそぎ流されて痛々しい土の斜面が下へ広がっていた。自然の成り行きに任せるほかないのだろうか。ブナのトンネルに被害が及ぶ日は遠くないような気がした。
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ロープが張られた急坂にかかった。転落しないよう一歩一歩確実に足を置く。山頂の一角に達すると平たんな道に変わった。
 仁田さんが初めて高城山に登ったのは50年も昔。スーパー林道はなく、東麓の地蔵谷から尾根を経て1泊2日の行程だったという。「大自然の森を探検的な気分で登った時代と比べ隔世の感がある」。感慨深く話してくれた。
 帰路はスーパー林道を歩くことに。尾根道を東に進み、歩いて数分。高城山の最高地点に立ち寄った。狭い所に白骨林とヒノキ。地図に山名が記された三角点のある所より約4㍍高い。仁田さんが「えっ、知らなかった」。巨大なレーダ雨量計の脇を通り、どんどん下るとスーパー林道に出た。
「徳島のへそ」と呼ばれる広場に山口県からオフロードバイクで訪れていた男性(60)がいた。あいさつをすると、大展望を前に「紅葉が早いようだが、すごくいい山」と答えてくれた。
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そこから約3㌔余り、林道を歩いてファガスの森に帰って来た。出発から約2時間40分がたっていた。(登山日は10月21日)

(10月25日付 徳島新聞「暮らし」面掲載)

プロフィール

尾野益大(おの・やすひろ)

1991年入社。整理部、脇町、板野、鳴門支局、社会部勤務。高校時代から登山を始め現在、日本山岳会所属。

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