ムスリムもびっくり日系ハラル食品-アジアユニークビジネス大賞2016

アジア経済ビジネス情報の“NNA”『カンパサール』

⑤ハラル部門

イスラム教の戒律に適合した「ハラル」食品の市場が拡大する中、日本食のハラル化に熱心に取り組む日系企業。意外性ある食品が開発されている

金賞[マレーシア]
前代未聞のハラル甘酒
健康飲料でデビュー

P8-9_0しょうゆ、納豆、ラーメンなど種類が豊富な日系ハラル食品。中でも意外性のある製品が出てきた。みそ、しょうゆの製造を手掛ける伊賀越(三重県伊賀市)が開発したハラル認証済みの甘酒だ。

伊賀越はもともと、日本ハラール協会から認証を受けたハラルしょうゆやすき焼きのタレを製造販売していた。みその製造過程で使われる米こうじと米を原料に活用したのがハラル甘酒だ。もちろんアルコール成分は含んでおらず、砂糖や塩も入っていない。「甘酒」と表示するとアルコール製品だと誤解される可能性があるため、ラベルには「ライスミルク」と記載している。

今年3月にマレーシアのハラル製品見本市に出品して反応を確かめたところ、試飲した来場者は「タパイみたいだ」と口々に話した。タパイは米やイモなどをバナナの葉に包んで蒸したマレーシアの伝統菓子で、甘酒は味わいがそっくりだという。

マレーシア人は砂糖の消費量が多く、糖尿病や心臓疾患の増加が社会問題化している。同社は「砂糖・塩を使わない健康的な飲み物として、ハラル甘酒を打ち出していきたい」とも意気込む。

今年7月頃までにマレーシアと日本で販売開始する見通しで、卵焼きのだし代わりなど調味料としての用途も打ち出す考えだ。

容量150ミリリットル。価格は日本では250~300円となる見込み(NNA撮影)

容量150ミリリットル。価格は日本では250~300円となる見込み(NNA撮影)

編集部コメント

飲酒タブーのイスラム圏であえて「甘酒」なのがインパクト抜群。日本人でも勘違いしやすいが甘酒の原料である酒かすには本来アルコールは含まれていない。その意味でもともとハラルな飲料ともいえるかもしれない

銀賞[マレーシア]
魚肉ソーセージ
コンビニの星を目指す

販売用ラック。「マレーシア・ハラル」の表示とハラル認証のラベルが目を引く(NNA撮影)

販売用ラック。「マレーシア・ハラル」の表示とハラル認証のラベルが目を引く(NNA撮影)

魚肉ソーセージといえば、日本ではお弁当のおかずや子どものおやつの定番。マレーシアにも日系企業が手がけるハラル・ソーセージがある。手軽さとハラル認証を打ち出しながら「やや高級」なスナックとして販売されている。

加工食品大手の林兼産業(山口県下関市)が2010年に地場企業と合弁で設立したオマカネが製造販売を行う。年間生産量は合計90トン程度。マレーシアのソーセージは要冷蔵・冷凍品が一般的なため自宅で保存して使うが、オマカネの商品は常温保存が利き、包装材をむけばすぐに食べることができるのが特長だ。利用シーンはぐっと広がる。

主な販路は大手スーパー、コンビニのほか、メッカ巡礼の集合場所、長距離バスのターミナル内などに広がる。取り扱い店向けに専用の販売ラックも用意した。コンビニでは即席麺や調理パンなど、すぐに食べられる商品が並ぶコーナーに設置している。オマカネは、若い世代には利便性がうけるとみており、今後も他のコンビニやガソリンスタンド併設の店舗などに売り込みをかける。

今年2月にはインドネシアへの輸出も開始した。マレーシアでの基盤をさらに固めながら、インドネシアでのハラルビジネス本格化に向けて検討を進める考えだ。

 編集部コメント

魚肉ソーセージは手軽が一番。手でも歯でも開けられないときのストレスは大きい。 若者を意識し、むきやすい製品をコンビニで売るという作戦が◎

銅賞[インドネシア]
「たこわさ」「クラゲあえ」
珍味系のハラル総菜

日本ノヴェリカの現地工場(NNA撮影)

日本ノヴェリカの現地工場(NNA撮影)

農水産物の製造・輸出入を手掛ける日本ノヴェリカ(神戸市)は、2017年度以降をめどにインドネシアでハラル和総菜の生産に乗り出す。「たこわさび」や「クラゲのあえ物」といった和食の居酒屋で提供されるようなメニューを想定し、現地法人の工場からインドネシア国内の日本食レストランに供給する。

現在の主力はフカヒレを中心とした水産物の加工食品。現地の自社農園では、珍味製品などに混ぜる野菜も生産する。これらのノウハウをハラル総菜に活用する。

同社は、「イスラム教徒が国民の大半を占めるインドネシア国内はもとより、他のイスラム圏にも輸出する計画」と説明。ハラル認証の取得を検討しながらASEAN他国や中東への輸出も視野に入れる。

編集部コメント

日系居酒屋はアジア各地で日本食レストランとしてよく利用される。和総菜をハラル化するのは、実は手堅い考え方

選評

ハラル先進国のマレーシアでは、華人資本の地場系日本食レストランなどがハラル対応を進めており、引き合いが増えている。外資も日本食の需要の取り込みにやっきになっている。ニッチなアイテムを高い技術力で製品化するのは日系企業のお家芸。今後も、さらに意表を突くようなハラル食品の登場が楽しみだ。

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