「学芸員はがん?」 徳島県内の学芸員に聞きました

「一番のがんは文化学芸員」。山本幸三・地方創生担当大臣の発言が波紋を呼んでいます。外国人観光客に向けた文化財の案内が不十分であるという話題の中での一言ですが、当事者の気持ちはいかばかりか。徳島県内の学芸員に聞きました。

(2017年4月19日)

-山本大臣の「学芸員はがん」発言を聞いて、どう感じましたか?

「びっくりしました。学芸員という職業の内容について全然理解されていない発言だと思います。自分が学芸員になった頃、『学芸員って何?』と名称すらあまり知られていなかったことを思うと、マイナスの話題であっても注目が集まるのは時代が変わったということなのかもしれませんが…」

-学芸員の仕事について教えてください。

「多くの人にとって学芸員の仕事はよく分からないものだと思います。美術館や博物館の役割は博物館法で定められていて、資料の収集、保存、展示、調査研究、教育普及です。学芸員はその専門職です。

中でも保存は、安全な場所で管理し、100年後も200年後もいい状態で見ることができるようにすること。例えば、絵画などの美術品にとって、劣化を進める光は大敵です。毎日展示し続けて10年で手の施しようがない状態にしてしまうのか、年間の展示日数を制限することで、100年後まで今と変わらない美しさを残すのか。学芸員は『いかに見せるか』、言い換えると『いかに見ることを我慢してもらうか』を考えています」

【資料写真】県立近代美術館の収蔵庫。学芸員の緻密な作業で美術品が守られている(2012年撮影)

-大臣の一連の発言は「観光振興のためには文化財保護のルールを緩和してもいい」とも受け取れます。

「観光振興は、その地に暮らす全ての人にとって大切なことであり、担うべき役割でもあると思います。住民がおのおのの職務を全うした上で、観光振興のためにできることは何かを考える。もちろん学芸員もその一員です。学芸員の職務は、文化財というみんなの共有財産を後世に伝えていくことなので、そうした仕事の範囲内で文化財を観光に活用することを考えています」

-観光と文化は相いれないものでしょうか。

「文化による観光の成功例としてまず浮かぶのは、フランスのルーブル美術館。その成功の理由は、数々の名画が何百年と変わらずいい状態で保存され、今も見られることにあります。文化財の保存と観光は相反するものではなく、長期的な視点では、文化財の保存は観光の大きな資源となります」

【資料写真】県立博物館の収蔵庫。地震発生時に所蔵資料が飛び出すのを防ぐベルトが設置されている(2015年撮影)

-観光のために少々無理をしてでも文化財を活用する、では本末転倒ですね。

「無理をしてでも観光振興を、というのは間違っているのではないでしょうか。また、それは文化財に限ったことではないと思います。自然も文化財も、今生きている自分たちで消費してしまっていいのか、観光で経済的に潤うために使い切ってしまってもいいのか。心を豊かにする美術品や貴重な文化財を自分たちの時代に楽しみつつ、次の世代にもそのままの形で引き継いでいく。そのために日々、所蔵資料と向き合っています」

参考資料:山本担当相の発言要旨(共同通信)

山本幸三地方創生担当相が撤回した文化学芸員を巡る16日の発言要旨は次の通り。

中国や東南アジアの爆買い的な観光はもう終わり、質が変わってくる。文化や伝統、歴史をしっかりと理解してもらうような観光が本物で、一番長続きする。

文化財の説明をきちんと説明できるかどうかが勝負。二条城では過去、全く英語の案内表記がなく、何の歴史的な説明もなかった。イギリス人が抗議し、今はがらっと変わり、ガイドも付くようになった。

日本ではいったん国の重要文化財に指定されると、火も水も使えない。花も生けるのも駄目、お茶もできないというばかげたことが当然のように行われており、一番のがんは文化学芸員と言われる人たちだ。

この連中は普通の観光マインドが全くない。プロの自分たちが分かればいい、他の人たちは分からないだろうから来なくてもいいよ、というのがだいたいだ。この連中を一掃しなければ駄目だ。

大英博物館はロンドン五輪後に大改造したが、一番反対したのが学芸員たちで、全部首にして入れ替えた。とにかく観光客に楽しく見てもらわない限り、国は成り立たないんだという感覚で徹底した結果、大成功した。

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