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世界漫画愛読者大賞の準グランプリを受賞した   2002/5/24 18:17
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世界漫画愛読者大賞の準グランプリを受賞した松家 幸治さん
(まつか・こうじ)

 「好きな漫画を描いてお金をもらえるなんて奇跡のような出来事。ようやく漫画家のスタート地点に立てた気分です」

 新潮社などが創設した賞で、漫画誌「週刊コミックバンチ」で募集した。受賞作「ガキんちょ強」は火事で両親を失った小学生の兄妹が悲しみに負けず、力強く自らの生活を切り開いていく物語。基調はギャグ漫画だが、人情味あふれた内容だ。「明るい話をただ明るく描いても面白くない。作品の底に流れるのは悲しみの感情。そこから出てくるギャグだからこそ面白いのでは」という。

 茶色がかった髪に色白の肌、細いあご。スマートで今どきの若者らしいいでたちからはギャップを感じさせる作風。「どうしてなのかな。昔の物とか人情物に弱いんです。性格なんですよ」。最も好きな漫画、アニメに「じゃりん子チエ」を挙げる。

 一カ月前まで石井町高川原の実家住まい。徳島県内の紳士服店で働いていた十九歳の時に「本当にやりたいことをやろう」と漫画を本格的に描き始めた。たちまち頭角を現し、二年後には漫画誌に読み切り作品が載るまでになった。

 しかしそこからが長かった。仕事を辞めて八年間。何度作品を応募しても出版社に持ち込んでも、送られてくるのは不採用の通知。「本当につらかった。分かるでしょ。実家でただ漫画を描いてる三十歳前の男への世間の風当たりの強さが」と笑う。

 受賞直前の四月末、東京・吉祥寺に居を移したばかり。「ガキんちょ強」の連載は同誌五月三十一日発売号から始まる。準グランプリの賞金千五百万円は「すべて親に渡しました。これまでいろいろ迷惑をかけましたから」。二十九歳。独身。