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阿波人形浄瑠璃振興会の第八代会長に就いた   2005/11/15 15:36
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阿波人形浄瑠璃振興会の第八代会長に就いた千草 信男さん
(ちぐさ・のぶお)

 九年間務めた三木俊治会長の後を引き継いだ。「他にふさわしい人がたくさんいるんですが。でも、引き受けたからには全力を尽くしたい」と力を込める。「人形座の多くは人形遣いだけで、上演時だけ太夫を招く。そのせいか両者の連携が十分とはいえない。人形遣いと太夫が一体となってこその人形浄瑠璃。横のつながりを強くしたい」。温厚な人柄と柔和な語り口で、ぶつかりがちな両者の間を結ぶつもりだ。

 神戸市出身。大阪の文楽座に在籍した父親の野澤吉六さん(故人)の影響で、幼いころから語りや三味線に触れた。一九四七(昭和二十二)年に父が指導者として徳島に招かれて引っ越したのを機に五〇年、徳島新聞社出版局(当時)に入社。「毎年、夏休みに内町小学校の講堂で開かれた人形浄瑠璃の大会に太夫として駆り出された。懸命に語って過ごした三十代だった」。二週間以上ぶっ通しで大入りだった時代を知る一人として「あのころのような盛り上がりを取り戻したい」と話す。

 人形浄瑠璃を取り巻く課題は、若い世代へのアピール。「よく上演される『傾城阿波鳴門』以外にも、こっけいだったり、動きが派手だったりと魅力的な演目はたくさんある。レパートリーを増やし、若者を引き込みたい」と、すそ野の拡大を目標に掲げる。

 四十年ほど太夫から離れていたが、徳島県教育印刷会長としての職務も一息つき、昨年九月に鶴澤友輔さんに弟子入り。今年十月に徳島市内であった大会では、公金に手を付けて古里に逃げた男が追っ手の迫る中、連れの女の機転で父親とつかの間の再会を果たす「傾城恋飛脚」を披露した。「人情の機微は、現代にも通じると信じたいですね」。徳島市大道三の自宅で妻(73)と二人暮らし。八十歳。