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遍路歩記展を開いたグラフィックデザイナー
宮本光夫(みやもと・みつお)さん   2007/3/25 13:18
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遍路歩記展を開いたグラフィックデザイナー 「懐の深いお四国に迎え入れられた。遍路に出ると素になれるんです」

 そごう徳島店で「遍路歩記(あるき)展」(二十六日まで)を開いている。

 初めて遍路に出たのは一九九八年の暮れだった。きっかけは小さな冒険心。高知県に入ったころ、そんな観光気分が揺れる。「ごくろうさま」とおじぎされたり、手を合わされたり。お金や食べ物をくれる子供もいた。「自分はそんな人間ではないのに…」。気軽な遍路が後ろめたくなった。

 二〇〇〇年五月、四十四番札所・大宝寺へ向かう峠道。忘れられない出会いがあった。

 「お遍路さーん」。振り向くと、あいさつを交わしたばかりの幼い姉妹が駆け寄ってくる。「これっ」。恥ずかしそうに差し出した手にはタンポポ。しゃがんで受け取った。二人はすぐ父親がいる畑に走っていった。

 「きっと、お父さんに渡してきなさいと言われたんでしょう。戻った二人に、お父さんはどんな言葉を掛けたのかな。遍路の豊かさに触れたような思いになってね」

 〇一年四月、結願。本で読んだような達成感はなく、むしろ寂しさが募った。〇六年一月、区切り打ちで四国を二巡したが、「もう一度行きたい」との思いもわく。

 展示した写真パネルには、歩きながら感じたことを込めた。素材が持つ本来の姿を探し出し、商品の本質を表現するデザイナーの顔ものぞく。

 「僕の作品の発表会ではない。遍路の素晴らしさをそのまま形にしただけ。誰もがドラマを持ち帰れるんですよ」

 お遍路さんを見かけると、声を掛けるようになった。妻のマスミさん(62)も数回、連れ出した。帰宅すると、また出たくなる「お四国病」は治りそうにない。徳島市在住。六十二歳。