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ネオジム磁石の開発で日本国際賞受賞が決まった佐川真人(さがわまさと)さん   2012/1/29 10:22
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ネオジム磁石の開発で日本国際賞受賞が決まった佐川真人(さがわまさと)さん 磁石の魅力に取りつかれ、世界最高性能の永久磁石を開発した。「役に立っていることが評価され、材料科学者として非常にうれしい」と笑顔を見せる。

 きっかけは、1978年に聞いた講演だった。当時、磁石の材料はサマリウムとコバルトが主流。高価なレアアース(希土類)で、需要の拡大に対応できない。安くて強力な磁石が求められていた。

 講演の講師は、コバルトを鉄に置き換えた際の難点として、鉄同士の原子間距離が近すぎて高温になると磁気が弱まる点を挙げた。「それなら炭素やホウ素を入れて鉄と鉄の距離を伸ばせばいい」「サマリウムより量が豊富で磁気も強いネオジムを使うべきだ」。そんなアイデアが浮かんだ。

 翌日、早速実験に取りかかり、3カ月ほどでネオジムと鉄とホウ素の組み合わせが最適と判明。改良を重ね、82年に完成させた。

 磁気の強さは従来の約2倍。ネオジム磁石の登場はモーターの小型・軽量化と高効率化を進め、省エネと二酸化炭素削減にもつながった。エアコンから風力発電機まで用途は広がり続けている。

 目下の課題は、耐熱性に必要な希少元素ジスプロシウムの使用量を減らすこと。資源に限りがあるためだ。「世界の研究仲間とともに成功させ、人類の平和と繁栄に貢献したい」と目を輝かせる。

 神戸大、東北大大学院から富士通へ。82年、研究を深めるため住友特殊金属の社長に直接電話して情熱を伝え、社に迎えられた。88年、研究開発会社インターメタリックスを京都市に設立、社長として研究の第一線に立っている。

 両親は徳島市出身。3歳で徳島駅前に移り、内町小学校に5年生まで通った。「すごく楽しかった。神戸に転校するときはクラス全員が駅に見送りに来てくれた。同級生に会いたいなあ」

 京都市で妻と二人暮らし。長女は兵庫県西宮市で都市工学の技術者をしている。68歳。