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東京・国立演芸場での「女流義太夫演奏会」に出演した竹本友和嘉(たけもとともわか)さん   2013/3/3 11:10
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東京・国立演芸場での「女流義太夫演奏会」に出演した竹本友和嘉(たけもとともわか)さん 浄瑠璃を芸術の域に高めた出演者が名を連ねた東京・国立演芸場での女流義太夫演奏会に、徳島県からただ一人出演した。「聴衆は愛好者ばかり。独特の緊張感の中で集中できた」と振り返る。幼い主君に仕える乳母と敵方の思惑が交錯する古典の名作「伽羅(めいぼく)先代萩御殿の段」を情感豊かに語ると聴衆は涙をこぼした。

 義太夫一家に育った。三味線の名手である母豊澤町子さん(79)が最初の師匠。太夫部屋の代表だった父北島春一さんは、2012年6月に84歳で亡くなった。「父は公演のたびに足を運んで批評してくれた。夢だった東京公演を喜んでくれたはず」。春一さんの写真を胸に忍ばせて、舞台に上がった。

 1996年には人間国宝の鶴澤友路さん(99)に弟子入り。兵庫県南あわじ市の自宅に出向くと、しばしば「苦しさと面白さは背中合わせ」と言われる。厳しい稽古を重ねてこそ理解できる奥深さがあると受け止める。「師匠の半分の年齢で、まだまだ駆け出し。稽古に終わりはありません」

 「浄瑠璃は情を語るもの」を信条に、日本人が脈々と受け継いできた義理人情や美意識、登場人物の心情などを理解して何人もの喜怒哀楽を表現する。「人形浄瑠璃でも生き生きと動く人形に息を吹き込み、情景を想像させて観客を物語の世界に引き込むのは太夫」と力を込める。

 他の多くの伝統芸能と同様、後継者が少ない。「浄瑠璃に興味を持つ若者を数多く育て、徳島の浄瑠璃文化を盛り上げたい」。太夫部屋「友和嘉会」を主宰して若手育成に力を注ぐ。徳島市上八万町西山で夫と長男との3人暮らし。50歳。