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天の岩戸神楽の保存・継承に取り組み地域伝統文化功労者表彰を受けた小倉克己さん(おぐらかつみ)   2013/3/10 10:32
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天の岩戸神楽の保存・継承に取り組み地域伝統文化功労者表彰を受けた小倉克己さん(おぐらかつみ) つるぎ町無形民俗文化財に指定されている天の岩戸神楽の保存・継承に尽力し四半世紀。その取り組みが認められ伝統文化活性化国民協会(東京)の地域伝統文化功労者表彰を受けた。「身に余る光栄。周囲の支えにも助けられ、長年続けてこられた」

 室町時代創建の松尾神社(同町貞光)の社家に生まれた。同神社では旧一宇村の伝統芸能である神楽が、明治中期から地元の神職者によって4年に1度奉納された。

 「勇壮に舞う祖父の姿が壮観だった」。幼少期に見た神楽の記憶が今も脳裏に焼き付く。父親を早くに亡くし、親代わりだった祖父は、舞の名手として境内を埋め尽くす見物客を魅了した。神楽は地元の一大行事でもあったが、太平洋戦争の戦況悪化で長らく途絶えることとなった。

 県西部の小学校の教頭、校長を歴任し1986年に退職。時間に余裕ができると、頭をもたげたのは神楽の復活だった。地元からの要請もあり、翌年には「天の岩戸神楽保存会」を立ち上げ、会長に就任。旧貞光町の職員を中心に会員を募り、指導に力を注いだ。

 神楽は天の岩戸に隠れた天照大神(あまてらすおおみかみ)を神々が歌や踊りによって外へ誘い出すという神話に基づく物語。神々に扮(ふん)した踊り手7人、笛や太鼓などのおはやし5人で構成し、自身は神々を紹介する神楽歌を奏上する役目を担う。これまでに県内外の催しなどで披露してきたほか、毎年、年明けと同時に松尾神社に奉納し、地域の伝統行事として再び定着させた。

 課題は後継者の育成。保存会結成から26年が経過し、会員の高齢化も心配されている。「今後は若い世代に引き継いでいけるよう活動したい」。地元小学校で神楽の歴史などを紹介する授業を行い、継承に励んでいる。

 つるぎ町貞光で妻や長男家族と5人暮らし。長年活動を続けてこられたのは「妻の内助のおかげ」と照れ笑いする。85歳。