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本社を古里の美波町に移したITベンチャー社長 吉田基晴(よしだもとはる)さん   2013/5/1 10:16
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本社を古里の美波町に移したITベンチャー社長 吉田基晴(よしだもとはる)さん 気鋭のITベンチャーを率いる社長が古里の美波町にサテライトオフィス(SO)「美波Lab(ラボ)」を開設し1年になる。「働くなら東京、暮らすなら田舎という固定観念を覆したい」と、1日付で本社を東京・新宿から同町に移した。

 国際文化論を学んだという神戸市外国語大を卒業後、ジャストシステム(徳島市)に入社。県内外のソフト会社を経て2003年、電子著作物の保護システムを開発するITベンチャー、サイファー・テックの経営に乗り出した。

 SO開設は、私生活を犠牲にして仕事に打ち込むことへの違和感がきっかけに。「根が欲張りで、何かを捨てて何かを手に入れるという発想が嫌だった」。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)への思いが膨らんだ。

 「半x半IT」が美波Labのテーマ。変数のxには、社員一人一人の趣味や生きがいを入れてもらう。休日は稲作に汗を流す「半農半IT」、就業前にサーフィンを楽しむ「半波半IT」…。のびのびと働く社員の姿はそのまま業績に跳ね返った。「どのように働き、どのように暮らすかを自らデザインする時、人は最もクリエーティブになれると確信した」

 東京の大手企業に勤め、高額の報酬を受け取りながらも、常に焦燥感を感じている人は少なくない。一方で造船、塗装、農家、漁師と一人何役もこなしてたくましく生きる美波の男たちからは「何があっても自分の大切な人を食べさせていける」という自信に裏打ちされた優しさを感じた。

 「僕らはそんな美波の人に恋をした。彼らに寄り添って学びたい。一緒に笑いたい」。3年をめどに妻と2人の子を連れてUターンする予定だ。SO滞在中、愛船「阿武能丸」で釣りを楽しむのが何よりの息抜きという41歳。東京都板橋区在住。