徳島新聞Web

10月23日(月曜日)
2 2
23日(月)
24日(火)
神山町で最先端の放送事業に取り組む隅田徹(すみたてつ)さん   2013/7/13 13:34
このエントリーをはてなブックマークに追加

神山町で最先端の放送事業に取り組む隅田徹(すみたてつ)さん 神山町神領の劇場・寄井座といえば、かつて町民が胸をときめかせ、足を運んだ娯楽の殿堂。それに隣接する古民家が最先端のオフィスとして生まれ変わった。築80年余り。ガラス張りの室内には幾つものテレビ画面が並び、Tシャツ姿の若者がブロードバンド回線経由で作業を進める。蔵の中に収められているのは、金銀財宝ではなくサーバーと膨大なデータだ。

 穏やかな表情を浮かべて様子を見守る紳士は「生産性だけを追求したオフィスとは違い、住んでも気持ちがいい空間になった」と話す。受け継がれてきた記憶と、未来への予感が交わるこの場所で、次世代高画質放送「4K」の実証実験に挑む。

 慶応大学卒業後、英語ニュースの配信を行うテレビ朝日の子会社に入社。程なく新会社を立ち上げるメンバーに抜てきされ、多チャンネル衛星放送サービスのトップランナーになった。

 2002年、番組詳細情報の編集を手掛けるプラットイーズ(東京)を設立。東日本大震災をきっかけに、事業拠点の分散を模索する中で、神山町との運命的な出合いを果たした。決め手は、移住支援を手掛けるNPO法人グリーンバレーの「来る者拒まずではなく、町に必要な人に来てもらう」という毅然(きぜん)とした態度だった。

 「都会の企業の下請けに終わらず、都会の企業がやっているクリエーティブな仕事をやることが地域の自立につながる」との信念から、神山町で新事業に取り組むことを決めた。「多くの人に立ち寄ってもらい、新たな価値が生まれる場にしたい」と設けたオフィスの縁側に腰掛けて、世界中のトップクリエーターが「4Kの神山」に集う日を思い描いている。

 大阪府出身で、東京から神山町に住民票を移した。モットーは「生涯一あきんど」。着物と日本建築を愛する51歳。