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サントリー地域文化賞に決まった「四国の秘境 山城・大歩危妖怪村」村長宮本敬(みやもとたかし)さん   2013/8/10 12:17
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サントリー地域文化賞に決まった「四国の秘境 山城・大歩危妖怪村」村長宮本敬(みやもとたかし)さん 「妖怪には人を引きつける何かがある」。サントリー地域文化賞に選ばれた三好市山城町の住民団体「四国の秘境 山城・大歩危妖怪村」で代表の「村長」を務める。足かけ15年の地道な活動がたたえられ、妖怪の魅力をあらためてかみしめつつ受賞を喜んだ。

 山あいの山城町上名に生まれ、祖父母から妖怪の話を聞かされて育った。「あの(川の)ふちにはエンコ(カッパ)がいる。近づけば引っ張り込まれるぞ」。子ども心に恐ろしい妖怪の姿を想像し、危険な場所には決して近寄らなかった。「大抵の妖怪話は、厳しい自然の中で生きるための先人の知恵に違いない」。今ではそう思う。

 愛知や大阪の大手企業勤務を経て「長男だから」と家を継ぐため26歳で帰郷。以来、子どもたちの声が減っていく古里の現状を目の当たりにしてきた。にぎわいを取り戻すために何かできないかと、仲間と立ち上げたのが妖怪村の母体となる「藤川谷の会」。数多くの伝承が残る妖怪に着目した。

 「正直、こんなもので人が寄るのかと思った」と、初めは懐疑的だったと振り返る。だが、疑問は「こなきじじい」の石像造りに全国から予想を上回る寄付が届いたことで吹き飛んだ。伝承の地を巡るツアーには都会からの参加が相次いだ。「妖怪に興味を持つ人がこんなにいるとは」。今も当時の驚きを忘れない。

 建設関係の会社で働きながら伝承を掘り起こすために地域を巡り、イベント用の妖怪の着ぐるみ作りには率先して携わる。「山の中というのを逆手にとり、少しでも多くの人に訪れてもらいたい」。仲間とともに妖怪を市の観光に欠かせない素材に育てようという気概は、衰えることがない。

 「妖怪話は先人の知恵」と思うものの、実は若いころに火の玉を目撃したことがある。「やっぱり何かあるんじゃろうな」。にやりと笑う。母、妻、長男と4人で暮らす。64歳。