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ニュービジネス支援賞で大賞を受賞した応用酵素医学研究所社長鈴木宏一(すずきこういち)さん   2013/10/27 11:09
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ニュービジネス支援賞で大賞を受賞した応用酵素医学研究所社長鈴木宏一(すずきこういち)さん 「徳島ビジネスチャレンジメッセ2013」の会場で受賞の発表を受けてすぐ、携帯電話を手に取った。かけた相手は、「アレルゲン診断チップ」の事業化を共に進めてきた徳島大学疾患酵素学研究センターの木戸博特任教授と、研究グループのメンバー。「大賞受賞は今後の事業展開に対する期待と受け止めており、うれしく思う」。ビジネスとは無縁だった研究者が、控えめに喜びを表した。

 粘菌の研究に熱中した北海道大学在学中に突然、シラカバ花粉症を発症した。モモやリンゴなどに対する果物アレルギーも併発。ひどい咳(せき)で話すこともままならず、食べ物を制限される苦しさを知った。患者としてのつらい体験が、徳島大学大学院でアレルギーの研究に携わることを決意させた。

 特に関心を持ったのは、小児に多い食物アレルギーの予防と治療。木戸教授のグループで乳幼児のアレルギー診断にも有効なチップの開発を進める中、応用酵素医学研究所が設立され、社長に就いた。

 大学発ベンチャーの強みを生かし、全国の大学や研究機関との共同研究も活発に行う。原因物質を調べるだけの検査から、予防や治療につながる検査へ。越えるべきハードルはまだ幾つもあるが、一歩一歩、着実に歩みを進める。

 社長就任から3年。国内で取り組まれているユニークな基礎研究を実用化して医療現場に届けるには、ベンチャーという橋渡し役が不可欠との思いを強くする。とはいえ「交渉ごとは今でも苦手」。徳島大学産学官連携推進部のサポートを受け、大手メーカーなどとの商談に臨む。

 夢は、徳島をアレルギー予防と治療のモデル地区にすること。「そのためにも人材確保や資金調達などの仕組みづくりを急がなければ」。そう語る表情はすっかり「社長の顔」に見えた。徳島市在住の40歳。