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全国高校バスケットボール選抜優勝大会徳島県予選で優勝した富岡東高校女子監督木下博順(きのしたひろゆき)さん   2013/10/28 09:54
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全国高校バスケットボール選抜優勝大会徳島県予選で優勝した富岡東高校女子監督木下博順(きのしたひろゆき)さん 優勝インタビューで「柄にもなく『お前たちを信じている』と送り出した」と語った途端、目から涙があふれ出した。目も鼻も赤いまま選手の元に戻り開口一番「おい、誰かティッシュくれ」。チームにどっと笑いが起きた。普段は厳しい指揮官の安堵の涙。どれだけ高い前評判を得ていても一発勝負で勝つ難しさを物語っていた。

 阿南市富岡町に生まれ育った。両親がバスケットボールをしていたせいもあって富岡西高入学と同時に競技を始め、184センチの身長を生かして頭角を現した。ところが日体大に進学して間もなく左膝のじん帯に重傷を負い、選手生命を絶たれた。「バスケと関わり続けるために指導者になる」。強豪大学で出会った監督や同級生との人脈を生かして指導の基礎を学び、情報を集めた。1980年の大学卒業後、古里で体育教諭に。正採用となった初任地で3年務めた後、富岡東高に赴任し26年目を迎えた。県内公立高ではほぼ最長で「地元校で働ける喜びとやりがいをいつも感じている」と話す。

 これまで全国大会に11度出場。うち2度16強に導いた名将だが、富岡東高での最初の10年は全国行きの懸かる大会で一度も勝てなかった。「『俺が教えてるんだぞ』というおごりがあった。メニューだけ伝えて練習に立ち合わなかったこともある」と振り返る。今は違う。「特に女子は選手に寄り添うこと。日々の成長と課題を共有しこまめに声を掛けて伸ばす」と説く。99年から県協会の事務局長など要職を歴任。2007年のアジア男子選手権の徳島開催などに関わり競技普及に力を尽くす。その経験から段取りや気配りの大切さを学び「いろんな人との出会いが私を変えた。感謝あるのみ」。

 宝物は10年前から書き続けている日記。「選手を怒りすぎた自分を省みるのに必要なんです」とほほ笑んだ。妻と両親の4人暮らし。56歳。