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徳島ヴォルティスを四国で初めてJ1に昇格させた監督小林伸二(こばやししんじ)さん   2013/12/9 10:38
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 史上初めて三つのクラブをJ1に昇格させた監督となった。数日前にそれが話題になったときに困った顔をしたのは簡単でないことを痛感しているからだ。しかしすぐに「やっぱり勝ちたい。選手が頑張ってくれてチャンスをつかんだのだから」と武者震いを抑えるように腕を組んだ。大雪のチーム始動から11カ月。「昇格請負人」の笑顔が国立競技場で輝いた。

 最後の1人が居残り練習を終えるまで、とことん付き合う。「試合に出ていない選手には大切な時間」。成長を願う親心とともに、次の日にその課題を意識しているかどうかにも目を光らせる。プレーオフ進出を懸けた長崎とのリーグ最終戦前日。ベンチ入りメンバーを発表した後、外れた選手に言った。「ちゃんとトレーニングしておいてくれ。必ず勝って帰ってくるから」。人情家であり、勝負に厳しい戦略家だ。

 豪快な巻き返しでJ1挑戦権をつかみ取った終盤。「引き分けまではいける。でも勝ちきらないと上はない」と言い続けた。J2大分を途中から率いた2001年は昇格を、J1のC大阪で指揮を執った05年は優勝を、ともに最終戦の引き分けで逃した。「結果は後からついてくる。大事なのはチャレンジ。痛い目に遭ったことをどう次に生かすか」が指導の主眼だ。

 J1昇格による地域の活性化や競技力向上といった熱の高まりを肌で知るだけに、この日の勝利への執念は強く、喜びも大きい。「いろんな人が自分の思いをチームに投影している。そういう人たちに勇気を与えたいし、だから勝ちたいと思ってきた。J1へ行くと本当に変わるから」と話していた闘将は「われわれが勇気をもらった」と決勝のスタンドを見渡した。

 妻、長男、長女の4人家族で徳島には単身。長崎県国見町出身。53歳。