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新春恒例の「歌会始の儀」に入選した藤本和代(ふじもとかずよ)さん   2014/1/1 10:45
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新春恒例の「歌会始の儀」に入選した藤本和代(ふじもとかずよ)さん 「自信作というわけではなかった。今も夢心地です」。言葉を操る歌人らしく、一言一言選びながら丁寧に話す。

 作品が頭に浮かんだのは昨年9月上旬。農作業に追われる中、スラスラと言葉が生まれた。詠んだのは、3年前に腎移植手術を受けた弟のこと。ドナーやその遺族、医療関係者ら、手術に関わった全ての人に対する感謝の思いをつづった。「題詠は苦手。心動かされるまま自由に詠みたい。完成してから今回の題『静』に沿うと思った」

 何げない生活の中でひらめいた歌は全国で10人という狭き門をくぐり抜け、県内7人目となる栄誉をもたらした。入選を受けて思い出したのは、20年前に父に言われた一言。歌会始の映像をテレビで見た父は「お前もあそこに行かなあかんな」とつぶやいた。「以来、歌会始の存在は頭の片隅にあった。父が生きているうちに入選できて良かった」とほほ笑む。

 韻律を踏んで生まれる言葉を書き留めるようになったのが21歳のころ。2011年に徳島歌壇賞に輝くなど数々の受賞歴を持つが「謙虚なれ、おごるなかれが信条」ときっぱり。「有頂天になれない損な性分なだけなんですが」と付け加えた。

 02年から「未知・かりん徳島」に在籍。会員らと切瑳琢磨し、作品に磨きを掛ける。「歌を続けてこられたのは厳しくも温かい仲間のおかげ」。口をついて出る感謝の言葉に、控えめな人柄がにじみ出た。

 息子と娘は独立し、吉野川市で夫と2人暮らし。65歳。