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徳島県自殺予防協会の理事長に就任した川島周(かわしましゅう)さん   2014/5/16 09:34
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徳島県自殺予防協会の理事長に就任した川島周(かわしましゅう)さん 約40年前の苦い経験が、今も胸にある。

 京都府立医大を卒業して医師となり、東京女子医大の人工腎臓センターで助手を務めていた1973年。50代の男性透析患者に病気について聞かれ、遺伝性の難病であることを告げたところ、患者は自宅に帰って自殺してしまった。

 「言い方が悪かったのか」と思い悩んだ。以来、診療活動とともに、自殺予防の啓発にも強く留意するようになった。「患者に一日でも長く生きてもらう仕事が医師ならば、自殺も未然に防がなければ」

 2007年に徳島県医師会長に就任後、会の内部に自殺予防対策委員会を設けたのも、そうした思いがあったからだ。

 そしてこのたび、自殺予防の相談電話「いのちの希望(旧・いのちの電話)」を35年前に県内で初めてスタートさせた近藤治郎さん(74)の後任として、相談電話を運営する自殺予防協会の理事長に就いた。「尊敬している」という近藤さんから頼まれ、「少しでも自殺予防の役に立てるなら」と引き受けた。

 透析の専門家として知られるほか、医師会の活動などで行政や経済界に幅広い人脈を持つ。そのネットワークを生かし、人手不足に悩む電話相談員の確保や支援金の充実などを目指す。「協会を継続させるための基盤強化を図り、次世代のリーダーに橋渡しすることが役目だと思っている」

 1980年、徳島県は人口10万人当たりの自殺者数が全国ワースト6位だったが、近藤さんらの地道な活動によって、現在は全国でも自殺者の少ない県になっている。「その灯を決して絶やしたくない」との思いは強い。

 多忙な日々の中、海外視察の旅先で写真を撮るのが趣味。徳島市佐古二番町で、妻と次女夫妻、孫との5人暮らし。69歳。