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第3回「赤ひげ大賞」に選ばれた那賀町立上那賀病院長鬼頭秀樹(きとうひでき)さん   2014/11/28 09:52
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第3回「赤ひげ大賞」に選ばれた那賀町立上那賀病院長鬼頭秀樹(きとうひでき)さん 過疎が深刻な那賀町の町立上那賀病院に赴任して8年。病院前のアパートに住み、24時間態勢で患者に対応する。患者にはいつも優しく接し、決して診療を断らない。日本医師会が地域密着型の医療活動を続ける医師をたたえる「赤ひげ大賞」の一人に県内から初めて選ばれた。現代の赤ひげ先生は「患者と向き合う今の仕事がすごく楽しい」と笑みを浮かべる。
 
 大阪府生まれ。「人と接する仕事がしたい」と医学を志し、山口大医学部を卒業、大阪市立大大学院博士課程を修了した。外科医になってからは手術に追われた。大阪府にある公立病院の外科部長にまでなったが、幹部会議で「効率の良い医療で利益を上げるように」と言われ、疑問を抱くようになる。
 
 そんなとき、青森のへき地に移住した先輩外科医が進むべき道を照らしてくれた。「先輩から患者のために尽くす医者の心を教わった。もともとへき地に興味があったわけではなかったが、同じような医療が私にもできるのではないかと思った」。職を辞し、2006年に上那賀病院に赴任。2年後、院長になった。
 
 身近な場所での治療はへき地に住む患者の願いだ。外科医の経験を生かし、院内手術を大幅に増やした。設備は大病院ほど充実していない。緊急手術も増える。時間外の呼び出しなど、職員の負担増が問題になり、院内で話し合いの場が設けられたこともあった。「それでも『患者さんの思いにできる限り応えよう』という思いを受け入れてくれた。多くの人の協力があってこそやってこられた」と感謝する。
 
 アパートには毎日、阿南市の自宅から妻が朝食と夕食を届けてくれる。60歳。