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森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会徳島県本部の委員長江口哲生(えぐちてつお)さん   2015/9/2 11:53
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森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会徳島県本部の委員長江口哲生(えぐちてつお)さん 乳児130人が死亡した森永ヒ素ミルク中毒事件から今年で60年。生後約7カ月だった当時、親が母乳の足しにと薬局で購入した粉ミルクを飲み、下痢や嘔吐(おうと)に苦しんだ。大きな障害は残らなかったが、周りの友人と比べて体の成長が遅く、気管支炎をよく患った。「いつ大きな後遺症が出るか分からず、常に不安だった」と振り返る。
 
 34歳のとき、県内の被害者や家族が集まる交流会に参加し、知的障害や言語障害を抱えた被害者の現状を知った。親世代の高齢化も進んでいる。「これからは元気な被害者が頑張らないといけない」との気持ちが芽生え、被害者を守る会徳島県本部に入会した。
 
 重い障害で学校に行けなかった被害者を支援するため、読み書きや計算を教えた。「もしかすると逆の立場だったかもしれない」。そう思うと、やるせなさが募る。県内の被害者456人中、これまでに59人が亡くなった。今も23人が肢体不自由や知的障害、てんかんなどの後遺症に苦しんでいる。
 
 粉ミルクは栄養価が高く、元気な子に育つとの触れ込みで販売された。60年の節目を迎え、「被害者を保護するのはもちろん、事件の風化を防ぎ、食品偽装や異物混入が相次ぐ社会に食の安全を訴えていく」と決意を新たにする。
 
 12、13日に和歌山県の高野山で開かれる10年ぶりの合同慰霊祭と記念式典に出席する。「何の不安も持たずに食べ物を口に入れられる。そんな当たり前の社会になってほしい」
 
 県本部委員長を務めて22年。今春、小学校教員を退職した。妻と長男夫婦、孫3人と鳴門市大麻町大谷の自宅で暮らす。60歳。