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阿波鏡台歴史館を設立した江淵達人(えぶちたつひと)さん   2015/9/21 10:50
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阿波鏡台歴史館を設立した江淵達人(えぶちたつひと)さん 藩政期から戦後の高度成長期にかけ、全国で一、二を争う出荷額を誇った徳島市渭東地区の鏡台産業は近年、生活様式の変化などで衰退が著しい。その歴史を見てきた一人の木工職人として、現状に心を痛め「何とか伝統を守りたい」と歴史館設立を決意した。

 仕事の傍ら、産業の歴史や出荷数の推移などを調べ、年表やグラフを作成。さまざまな時代の鏡台とともに展示している。「何年かすれば全盛期を知っている人がいなくなってしまう。資料を残して後世に伝えていくのがわれわれの役目」

 父・栄さんが1937年に創業した鏡台店の2代目。18歳で職人の道を歩み始めた。67歳の今も現役で、多くの同業者が廃業する中、職人15人を抱える。

 鏡台の需要が急減したため、95年ごろから仏壇製造に手を広げた。今では売り上げの99%を家具調の仏壇が占める。最盛期の80年代には年3千本あった鏡台の受注は今や5本しかない。それでも「鏡台製造をやめるつもりはない」と言う。

 熱い思いは周りに伝わっている。次男・政男さん(38)が後継者として就職した2001年、鏡台店の名前を変える話が出たが、政男さんが反対した。「仏壇製造の元請け会社も応援してくれる。ありがたい」

 どんな苦境でも笑顔を忘れないのが信条。「社長が暗かったら店も駄目になる」と考えているからだ。周囲は「嫌そうな顔を見たことがない」と口をそろえる。

 「若い人が一人でも職人を目指してくれたら」と願う。「そのためにも、今後も情報収集を続け、より良い歴史館にしていく」のが目標だ。

 趣味は徳島市立高校時代に始めたラグビー。4年前、当時の仲間から誘われてグラウンドに戻り、週1回プレーしている。徳島市末広1の自宅で妻の貴代子さん(65)と2人暮らし。