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第4回水木十五堂賞に選ばれた辻本一英(つじもとかずひで)さん   2016/1/5 11:23
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第4回水木十五堂賞に選ばれた辻本一英(つじもとかずひで)さん 「民間の手で文化遺産を残す成功事例として認められた。全国各地で民俗文化を残そうと苦労している人たちの励みになる」。伝統文化などに関する資料収集や継承活動で社会に貢献した人をたたえる賞に選ばれ、喜びはひとしおだ。

 差別を受けてきた人たちが築いた伝統芸に光を当てようと、1995年に「『箱廻(まわ)し三番叟(さんばそう)・えびす舞』を復活する会」(現・阿波木偶箱まわし保存会)を立ち上げた。98年には仕事を辞め、歴史を聞き取ったり道具類を収集したりといった活動に専念してきた。

 これまでに集めたのは阿波木偶や衣装、門付け芸人の道具一式など約900点に上る。一番のお気に入りは、自身の出身地、国府町芝原地区に唯一残っていたえびすの衣装人形だ。

 2011年には、県内外の研究者と正月の門付け芸「三番叟まわし」の調査チームをつくり、4年間で300カ所以上を回って取材した。成果をまとめた4冊の調査資料本は専門家らに高く評価され、三番叟まわしの基礎資料として重宝されている。

 「政治も経済も文化も都市に集中している現代は、地域文化の継承や研究が手薄になっている。日本文化にとっては大きな損失。今やらなければ途絶えてしまう」との強い危機感を持つ。

 門付け芸の継承にも心血を注ぐ。保存会メンバーで、02年に県内最後の門付け芸人から芸を引き継いだ中内正子さん(48)や南公代さん(50)らが毎年1、2月、民家を一軒一軒訪問し、披露している。活動が知られるにつれ、申し込みは年々増え、今では957軒を回る。

 全国各地で実演を交えた講演も精力的にこなしており、多忙な日々を送るが「楽しくて仕方ない」と笑う。5匹の愛犬の存在も元気の源だ。徳島市国府町芝原の自宅兼芝原生活文化研究所事務所で長女(38)、中内さん、南さんと4人暮らし。64歳。