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美波町の大浜海岸でウミガメ研究を始め国指定の天然記念物になる礎を築いた近藤康男(こんどうやすお)さん   2017/1/3 11:28
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美波町の大浜海岸でウミガメ研究を始め国指定の天然記念物になる礎を築いた近藤康男(こんどうやすお)さん アカウミガメの産卵地として知られる美波町日和佐浦の大浜海岸。1950年、教員を務めていた日和佐中学校で生徒とウミガメの研究を始め、保護活動の礎を築いた。海岸が国の天然記念物になって50年の節目を迎え、「産卵地としての価値を多くの人に知ってもらえてうれしい」と感慨深げに語った。

 同町志和岐地区で生まれ、12歳まで過ごした。砂浜近くのため池で泳ぐウミガメや、ふ化して海へ向かう子ガメなどを毎年多く目にし、ウミガメは幼い頃から身近な存在だった。古老らから「ウミガメは海の神様の使い」と教わった。

 理科の新人教諭として日和佐中に赴任。その2年目に生徒が偶然、海岸でウミガメの死骸を見つけた。食糧難の時代で、誰かが肉を食べたとみられ、強い衝撃を受けた。「ウミガメの事を調べて世の中の人に知ってもらい、二度とこんなことがないようにしないと」

 飼育は前例がなく、試行錯誤の連続だった。「長生きするから成長するのも遅いだろう、と高をくくっていた」が、子ガメは1年で甲長20センチほどにまで成長。飼育していた漬物用のおけはすぐ小さくなった。生徒らの頑張る姿が、学校や町、地域の住民を動かした。校内に屋根付きのウミガメ専用プールを造ったり、取った魚を餌に分けてくれたりした。

 日和佐中では6年間で72人の生徒と調査や飼育を行った。同校を離れた後は阿南市の新野中や富岡中などに赴任。88年に阿南中校長で定年を迎え、退職後には講演や学校への出前講座などを行って、ウミガメの保護の大切さを伝えてきた。

 大浜海岸のウミガメの上陸数と産卵数は近年、減少傾向が続いている。「みんなが関心を持ち、大事にするという意識がなければいけない」と訴えた。

 阿南市学原町で妻、長男夫婦と4人で暮らす。趣味のテニスは現在も週3日、練習に励んでいる。89歳。