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サントリー地域文化賞受賞の阿波木偶箱まわし保存会会長中内正子(なかうちまさこ)さん   2017/8/26 10:27
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サントリー地域文化賞受賞の阿波木偶箱まわし保存会会長中内正子(なかうちまさこ)さん 「徳島オンリーワンの伝統文化の灯を消したくない」。1995年の会発足から22年にわたり、仲間と共に1人遣いの人形芝居・阿波木偶箱まわしの保存継承に取り組んできた。栄えある賞に相好を崩す。

 無病息災や家内安全を祈り民家を回る正月の門付け芸「三番叟(さんばそう)まわし」をライフワークとする。千歳(せんざい)、翁(おきな)、三番叟による式三番叟にえびすが加わるのは徳島ならでは。姿を消したと思われた芸人が唯一県西部で見つかり、99年から3年間、一緒に回り技術を学んだ。

 2002年からは、自ら人形を遣い、口上もする。「1軒1軒、幸せな一年を過ごしてほしいとの一念で訪ねている。皆さんとの出会いを通じて私も福をもらっている」。当初約300軒だった訪問先は、今年は最多の1025軒を数えた。

 温厚で柔和な人柄だが、「人の役に立つことにやりがいを感じる」と芯は強い。「まじめ一筋」と周囲は声をそろえる。鴨島第一中学、徳島商業高校時代に人権問題への関心を深め、卒業後に当時県同和対策推進会職員だった初代会長の辻本一英さん(66)を通じて阿波木偶箱まわしと出合った。差別や人権問題と密接にかかわる文化だったため、人形の遣い手が伝承してこず途絶えかけていた。

 辻本さんに師事して会の立ち上げから支え、会の発足後は活動に専念するため勤めていた会社を辞めた。「私たちの代だけでなく次世代に伝えないといけない」。県内の小中高校や大学に教えに出向くなど普及にも力を入れ、会員は当初の15人から28人に増えた。

 「まだまだ未熟」と現在も研さんを怠らない。05年度から会長を務め、娯楽芸「箱廻し」や祝福芸「えびすまわし」も県内外で年100回ほど演じる一方で、人形遣いや語りについて県内外の専門家から学ぶ。趣味はなく、多忙な毎日を送るが「楽しくて仕方ない」。徳島市国府町芝原。49歳。