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健康相談
男性の腹圧性尿失禁   2017/6/10 11:14
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 くしゃみや咳で尿漏れ

 【質問】50代の男性です。最近、くしゃみや咳(せき)をしたときに尿漏れをしてしまうことがあります。尿意があっても、普段は我慢することはできます。治療方法や、日常生活で気を付けることがあれば、教えてください。

 徳島市民病院泌尿器科(徳島市北常三島町)
 村上佳秀総括部長

 運動療法と肥満対策を

 【答え】尿漏れ(尿失禁)は、強い尿意を我慢できずに漏らしてしまう切迫性尿失禁、おなかに力がかかったときに尿が漏れる腹圧性尿失禁など、いくつかのタイプに分類されます。相談内容からは腹圧性尿失禁と考えられます。

 腹圧性尿失禁は、くしゃみや咳、大笑いしたとき、重い物を持ち上げたとき、急な動作をしたときなど、腹圧がかかった瞬間に尿が漏れる症状です。これは、何らかの原因で尿道括約筋機能が低下している場合に起こります。膀胱(ぼうこう)に尿がたまっているときに腹圧が強くかかり、同時に膀胱内圧が上昇し、尿道括約筋が耐えられず、体外に尿が漏れてしまうことで生じます。

 腹圧性尿失禁は、骨盤内臓器や尿道の特徴から、女性に高い頻度でみられます。男性では前立腺肥大症の術後や、近年増加した前立腺がんに対する前立腺全摘出術後、尿道括約筋に障害の出た患者にみられ、これらの原因が最も多いとされています。しかし、術後の尿失禁は、ほとんどの例が一時的で、時間の経過とともに改善、治癒します。まれにわずかな尿漏れが残ることもあります。

 その他の原因は、脳脊髄疾患による神経性のもの、尿道外傷、服用薬の副作用などがあります。便秘や肥満は症状を悪化させる要因です。原因が明らかでないこともあります。

 尿失禁は日常生活への影響が大きく、気分も憂鬱(ゆううつ)になります。他に問題となる疾患がないかどうか泌尿器科専門医を受診してください。

 治療法としては、尿道括約筋機能を強化する運動療法である骨盤底筋体操が有効です。毎日、根気強く続けることで尿道括約筋の機能がよくなり、次第に尿漏れの程度や頻度が少なくなることが期待できます。肥満の人は腹圧が高まりやすいため、減量を勧めます。

 薬物療法は、膀胱の収縮を弱めたり、尿道括約筋の抵抗を強めたりする薬剤が投与されます。ただし、完全に治癒できるものではありません。

 他の治療で効果が不十分な場合は、手術療法も検討します。女性への手術は普及しています。しかし男性の場合は手術例が少なく、医療施設は限られます。コラーゲンの尿道注入療法と、より重症例患者に行われる人工尿道括約筋植え込み術には、保険が適用されます。
男性の腹圧性尿失禁