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阿波の民話-音読シリーズ 子どもから大人まで
阿波の民話-音読シリーズ 子どもから大人まで
2007年1月1日から連載

再話・湯浅良幸(徳島民俗学会会長)

推奨・川島隆太東北大教授
【1242】明星の松 上板町  
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 とんと昔(むかし)、あったと。

 大山寺(たいさんじ)は由緒(ゆいしょ)ある寺(てら)としてよう知(し)られとる。寛政年間(かんせいねんかん)、ある晩(ばん)のことじゃった。

 「ありゃなんじゃい」

 寺(てら)のもんは声(こえ)をあげおうた。寺(てら)から西(にし)へ四百(よんひゃく)メートルほどの所(ところ)に大松(おおまつ)がある。なんと、ほの梢(こずえ)の辺(あた)りが急(きゅう)に光(ひか)り出(だ)した。やがて、明星(みょうじょう)のように輝(かがや)き出(だ)した。

 こんなことが毎晩(まいばん)のようにつづいた。寺(てら)や村(むら)のもんまで心配(しんぱい)しだした。毎晩(まいばん)、寺(てら)へ集(あつ)まってきて西(にし)の大松(おおまつ)の方(ほう)を眺(なが)めとった。

 しばらくして、大山寺(たいさんじ)が火事(かじ)で焼(や)けてしもうた。

 ほのうち、寺(てら)のもんたちは御本尊観世音菩薩(ごほんぞんかんぜおんぼさつ)が大松(おおまつ)に火(ひ)を点(とも)して寺(てら)の焼(や)けるんを報(しら)せてくれたんじゃ。ほれに、われわれが気(き)づかなんだんじゃと後悔(こうかい)した。

 ほれからこの松(まつ)を「明星(みょうじょう)の松(まつ)」って呼(よ)ぶようになったそうな。

 おーしまい。

◆注釈

[ほれ]それ

 参考 「伝説とわらべ歌」上板文化第一集

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