鳴門市大麻町桧の板東俘虜(ふりょ)収容所跡があるドイツ村公園内にひっそりと立つドイツ兵の慰霊碑。一九一九(大正八)年、第一次世界大戦で捕虜となったドイツ兵が県内外の収容所で命を落とした十一人のために建立した。二〇〇七年、県の史跡に指定された。
碑は高さ二メートル、幅・奥行き各一・二メートルの砂岩製。ドイツ兵が設計し、台座と四本の柱で天井部分を支える西洋の様式が取り入れられている。四方の面には御影石のプレートが二枚ずつはめ込まれ、正面にはドイツ語で哀悼の言葉、側面と裏面には十一人の名前が刻まれている。
年月を経て、碑の風化は進んでいるが、手入れは行き届いている。近くに住む高橋敏夫さん(72)一家が、父母の代から守り続けてきたおかげだ。
一九四八(昭和二十三)年、母春枝さん(故人)がツタに覆われた碑を見つけて以来、周囲の掃除や献花などを行っており、今は敏夫さんと妻の文子さん(66)が引き継いでいる。
六〇年代には一家の善意がドイツに伝わり、元捕虜たちとの交流を復活させるきっかけにもなった。日独友好を象徴する史跡である。【写真説明】ドイツの元捕虜との交流を復活させるきっかけにもなった慰霊碑=鳴門市大麻町桧のドイツ村公園