吉野川市鴨島町西麻植の十力(じゅうりき)寺跡にある墓地に、六体並んだ地蔵菩薩(ぼさつ)。市の文化財に指定され、毎年十月に「六地蔵様まつり」が開かれるなど、地域の住民に親しまれている。
六地蔵はいずれも高さ約一・一メートルの石像。それぞれ顔立ちは異なり、慈愛に満ちた表情を浮かべている。江戸時代中期、寛保二(一七四二)年の銘がある。文化財指定理由には「地蔵と蓮台(れんだい)が一体となった大型で丸彫りの菩薩は希少」となっている。
六地蔵には古い言い伝えがある。吉野川に堤防がなかったころ、上流で大雨が降り、西麻植は一日遅れで洪水に襲われた。洪水でおぼれた子どもを、六人の男が舟で助けたが、住民は誰か知らない。すると、六地蔵のよだれ掛けがぬれており、助けたのは六地蔵だと分かった、という話。
この言い伝えを基に十一年前に始まったのが「六地蔵様まつり」。地蔵に仮装した子どもたちが舟の形をした屋台に乗り、十力寺跡から西麻植小学校までをパレードする。六地蔵を敬う気持ちを後世に伝える、住民手作りの祭りだ。【写真説明】おぼれた子どもを助けた言い伝えが残る六地蔵菩薩=吉野川市鴨島町西麻植