美波町奥河内の日和佐図書・資料館や日和佐総合体育館玄関などに展示されている木偶八点。同町赤松地区の農村舞台で使われていた。二〇〇一年に町文化財に指定された。
人形師として名高い人形富(一八二九-九四年)が制作した「一ノ谷嫩(ふたば)軍記」の熊谷や「式三番叟(さんばそう)」の翁(おきな)、人形忠(一八四〇-一九一二年)作の「近頃河原達引(ちかごろかわらのたてひき)」の与次郎などがある。
明治時代から昭和初期ごろまで赤松地区の人形座「赤松座」が使っていた頭とみられる。座が消滅してから地元の神社や小学校で保管されていたが、一九九一年に町が引き取った。
手や衣装などは損傷が激しかったため処分。頭も、表面にひび割れが走っていた。
「地方に多くの頭が残っているのは珍しい」と町公民館の職員が九七年、「人形恒」として知られる徳島市の人形師・田村恒夫さん(83)に修復を依頼。専門業者や、町内の女性グループが仕立てた衣装を着せ、往事の姿を再現し、展示している。【写真説明】明治期を中心に赤松の農村舞台で使われていた木偶=美波町の日和佐図書・資料館