東みよし町の三加茂駅北側にある金丸八幡神社。毎年秋祭り前日の十月十四日夜、かがり火が燃える境内で降神儀式や神楽が催される。一九五五年に県無形民俗文化財に指定された宵宮神事だ。
降神儀式は、自然石を直径三十センチの木枠で囲い五色の短冊で飾りつけた「おんじゃく」という神体を拝殿の前につり下げ、綱で前後に揺り動かして神霊を乗り移らせる県内唯一の行事。勢いよく揺れるおんじゃくを神殿に飛び込ませると、見物客から歓声が上がる。
続いて、剣や扇を手にしたはかま姿の若者六人が、太鼓やかねの音に合わせて神楽を奉納する。その一つ「乙子の五郎の舞」はこんな物語だ。
昔、大王はいまわの際に、四人の王子に四季を分配して宝剣を与えた。しかし、その時王妃の胎内にいた五人目の王子・五郎は分けてもらう季節がない。五郎は母からもらった剣を携え、四人の兄を訪ねて季節の配分を求めるが、兄たちは五郎を弟と認めなかった。
そこで五郎は「父大王の仰せに偽りあらば剣合わせをしてみよ」と挑み、一人ずつ剣を合わせて兄弟であることが認められ、各季節の土用を分けてもらった。
神事の起源ははっきりしないが、江戸時代から神職が演じていたとされる。明治に神仏分離令でいったん中止となったものの、昭和初期に氏子有志が復活させた。【写真説明】県の無形民俗文化財に指定されている金丸八幡神社の宵宮神事=東みよし町中庄