四国霊場18番札所・恩山寺(小松島市田野町)へと続く母養橋のそばに、木肌が紅黄色の風変わりな大木が植わっている。「恩山寺のビランジュ」と呼ばれ、1954年に県の天然記念物に指定された。
ビランジュは日本の太平洋岸や台湾など暖地に分布する常緑樹で、樹高は20メートルにもなる。灰褐色の樹皮がはがれ落ち、紅黄色の木肌があらわになっているのが最大の特徴。ばくち打ちが賭け事に負けて身ぐるみをはがされた様子にたとえ、和名では「博(ばく)打(ち)の木」と呼ばれる。
恩山寺のビランジュは木肌の色だけでなく、幹周りが約2・4メートル、約2・2メートル、約1・5メートルの3本の木が合体して1つになったとされる奇樹。それぞれの木から伸びた枝が重なり合って葉が生い茂り、夏には絶好の木陰となる。
恩山寺の略縁起によると、恩山寺のビランジュは、修行中だった弘法大師が、寺を訪ねてきた母親を招き入れて孝行を尽くし、それを記念して自ら植えたという。幹にある直径10センチほどの穴の中には、「お大師さん」なのか、小さな石の置物が安置され、手を合わせる人もいる。
「子どものころから、こんな色でこんなに大きかったな。お遍路さんが珍しがって、よくお参りしよるよ」。近所のお年寄りがビランジュを見上げ、そう教えてくれた。【写真説明】紅黄色の木肌があらわになった恩山寺のビランジュ=小松島市田野町