標高602メートルの太龍寺山に立つ四国霊場八十八カ所21番札所・太龍寺。そのふもとの一宿寺に至る旧参道(約4・8キロ)に、刻印がすり減った石柱が点在している。寺社の参道沿いに1町(約119メートル)ごとに立てられた目印の「丁石(ちょうせき)」で、古くから修行や遍路の人々の往来を見つめてきた。
県教委発行の「徳島の文化財」によると、丁石は幅と厚さが同じで、頭部に2筋の深い切り込みのある五輪卒塔婆(そとば)の形を取っている。丁石に刻まれた銘文によると、1364(貞治(じょうじ)3)年から67年にかけての南北朝時代のものと思われ、この時代から参詣者が多かったことがうかがえる。
旧参道にはこうした丁石が11基あり、1967(昭和42)年に県文化財に指定された。それ以降に発見された市指定文化財の7基も合わせると、全部で18基が残され、うち一宿寺の旧参道登り口では5基を見ることができる。
四国霊場や遍路道は、建て替えられたり、舗装されたりしているものが少なくない。丁石は現代に残る貴重な文化遺産として、その輝きを増している。【写真説明】現代に残る遍路文化の貴重な遺産「太龍寺の丁石」=阿南市加茂谷町宿居谷の一宿寺