那賀町拝宮(はいぎゅう)の国道193号から山道に入り、車で登ること約10分、白人神社境内に「拝宮農村舞台」がある。県内に現存する舞台で古いものの一つ。1991年6月に旧上那賀町の有形民俗文化財に指定された。
渓流や巨木に囲まれた舞台は木造平屋で約87平方メートル。間口6間、奥行き3間半と他の舞台に比べて一回り大きな造りだ。
かつては地区にあった人形座の「拝宮座」が、天狗(てんぐ)久などの人形頭四十数体を所有し公演をしていた。町外へも興行に出掛けていたが、50年ごろを最後に公演は途絶えた。その後、舞台は祭り後の宴会や地域の寄り合いに使われるだけとなっていた。
舞台復活のきっかけは2003年、阿波農村舞台の会が実施した見学会。会員が情緒あるたたずまいを絶賛し、会員による人形浄瑠璃の実演を見た地元参加者が中心になって復活機運が盛り上がった。
04年2月、地区住民が拝宮谷農村舞台保存会を発足させ、6月には約50年ぶりの公演を開催。町村合併を迎えた05年5月にも記念公演を行った。以来、伝統文化の継承と地域活性化に努めようと、毎年公演を続けている。【写真説明】かつてのにぎわいを取り戻しつつある拝宮農村舞台=2009年5月、那賀町拝宮